スラバヤ・グベン駅を出発し、ジャワ島の雄大な景色を眺めながら進む列車の旅をご紹介します。途中の停車駅や、車内での快適な時間、そしてジョグジャカルタでの到着後のひとときを、詳しくお伝えします。豪華なコンパートメント車両で過ごす、特別な旅の魅力をぜひ感じてみてください。
ARGO SEMERU号は定刻の9時5分に、静かにスラバヤ・グベン駅を出発しました。
機関車が牽引する客車が、スムーズにプラットフォームを離れる瞬間は、特別な旅の始まりを感じさせます。車内は豪華な雰囲気に包まれており、コンパートメント車両は、まるでプライベートなスイートルームのような快適さを提供してくれます。
列車がゆっくりとスラバヤ市内を抜け出すと、車窓からは大都市のビル群が遠ざかり、代わりに田園風景が広がり始めます。スラバヤの喧騒から解放され、列車は南回りの路線を進んでいきます。コンパートメント内では、シートの快適さと車内の静けさが際立ち、乗り心地はまさに一流のものです。ドアを閉めると、外の音がほとんど遮断され、まるで自分だけの小さな世界に包まれているような感覚になります。
列車は順調に進み、スラバヤを出発してからしばらくすると、車窓に広がる風景は一変します。広大な平野に広がる稲作地帯は、ジャワ島の豊かな農業地帯を象徴しています。青々とした田んぼがどこまでも続き、その中を規則正しく並んだ椰子の木がリズムを作るように風景を彩っています。ここから見える景色は、ジャワ島の自然の豊かさとその広大さを実感させてくれるものです。
車内では、地図モニターを確認しながら、列車が今どの辺りを走っているのかをチェックするのも楽しいひとときです。進行方向に続く路線を確認しながら、次に訪れる駅や通過する街の情報を得ることができ、旅をより一層楽しむことができます。広がる田園風景の中、列車はまるで絵画の中を進んでいるかのようです。
途中、列車はいくつかの地方都市に停車します。モジョケルト(Mojokerto)やヌガンジュク(Nganjuk)といった比較的大きな都市を通過するたびに、ほんのわずかの停車時間が設けられますが、乗降する乗客はほとんどおらず、すぐに出発していきます。
列車は平均時速110km/hで走行し、時折120km/hに達することもあります。この高速運転のおかげで、広大なジャワ島を効率よく、そして快適に移動することができます。
列車がマディウン駅を過ぎると、東ジャワ州から中部ジャワ州へと入っていきます。ここからはさらに緑豊かな景色が広がり、山々や森林の風景が徐々に姿を現します。中部ジャワ州は、古くから文化の中心地として知られており、歴史的な建造物や寺院が点在しています。列車の旅を通して、そうした歴史と自然の豊かさを同時に感じることができるのは、まさにジャワ島ならではの魅力です。
ソロ(スラカルタ)にあるソロ・バラパン駅に到着すると、ジョグジャカルタまでの距離はあとわずかです。この時点で列車に乗っている多くの乗客が、ジョグジャカルタ到着に備えて準備を始めます。コンパートメント車両の静かな空間で、次の目的地に思いを馳せながら、心地よい緊張感が高まります。
列車の旅が4時間も経過したことを感じさせないほど快適な時間が流れ、あっという間にジョグジャカルタ駅に到着します。キャビンアテンダントがおしぼりを持ってきてくれ、次はジョグジャカルタに到着することを知らせてくれます。この小さな気配りが、旅の終わりを特別なものにしてくれます。
ジョグジャカルタを過ぎた列車は、さらに6時間以上かけてジャカルタ・ガンビル駅へ向かいますが、この快適なコンパートメントならば、10時間の長旅も決して退屈には感じないでしょう。
ジョグジャカルタ駅に到着すると、コンパートメントの乗客の半数ほどが下車し、新しい乗客が次々と乗り込んできます。この列車の人気の高さを実感できる瞬間です。
列車を降りた後、ジョグジャカルタ駅のプラットフォームでしばらく時間を過ごしました。
ちょうどその時、反対側のホームに、ジャカルタからやってきたARGO SEMERU号が到着しました。スラバヤ行きの列車が13時発なので、ちょうど同じ時間にジョグジャカルタを出発するスケジュールになっているようです。2台の豪華列車が交差する光景はたまらない瞬間です。
今回の宿泊先は、ジョグジャカルタ駅の目の前にあるアバディホテルです。
駅前に位置するこのホテルは、旅の疲れを癒すのに最適な場所です。ジョグジャカルタの街を存分に楽しむため、まずはここでひと息つくことにします。歴史と文化が色濃く残るジョグジャカルタでの滞在を楽しみにしたいと思います。