2022年5月26日は「キリスト昇天祭」でインドネシアの国民の祝日となっています。インドネシアは国民の約89%はイスラム教を信じていますが、憲法では信教の自由が保障されていますので,BHINNEKA TUNGGAL IKA(多様性の中の統一)の観点からキリスト教徒が祝う宗教の祭典も国民の休日となります。本日はキリスト昇天祭について簡単にまとめたいと思います。
「キリスト昇天祭」はキリストの昇天を祝うキリスト教の祝祭日となります。
「キリスト昇天祭」とはキリストが昇天したことを祝う日です。「キリストが昇天する」とは文字通り「キリストが空に上る」という意味ですが、キリスト教では「キリストの昇天」とは「人として生まれたキリストが、神のいる場所に行った」ことを意味しています。キリスト教では、死を意味する言葉は使わず空へと上がって神様の元に行ったという表現を使います。キリストは、人としての最後には迫害にあい十字架にかけられましたが、復活して神様の元へ帰られたことを「キリスト昇天祭」では祝っています。
キリスト教を信仰している人にとっては、キリストが昇天したことで自分たちも神様のいる天国へと行けるということになり、安心感も得られています。イスラム教でも同じような表現をしますので、ムハンマド昇天祭という祝日があります。
インドネシアでは、イスラム教のムハンマドの昇天祭に加えてキリストの昇天祭も祝日になるという、日本人の感覚では興味深い祝日となります。
2022年の「キリスト昇天祭」は5月26日(木)です。「キリスト昇天祭」は毎年日付が違う移動祝日となります。イースター(復活祭)から40日目に行われることになっていて、必ず木曜日に行われます。この「イースター」の日の設定ですが、春分の日(3月21日)後の最初の満月になった晩の後に来る最初の日曜日(2022年は4月17日(日))となるので、イースターの日付が毎年変わり、その40日目にあたる昇天祭も毎年日付が変わることになります。
「キリスト昇天祭」がイースターの40日後になった理由は、聖書にそのように書かかれているからです。イースターでキリストが復活して自分の弟子たちに説教するなどの奇跡を行ってから40日後に神のいる天国へと向かわれたと書いてあるので、「キリスト昇天祭」はイースターの40日後に祝われることが伝統になっています。
インドネシアではイスラム教が大多数なためキリスト教の祝日は、単に「仕事も学校も休み!」という感覚です。特に今年の5月は、イドルフィトリ(断食明け大祭)があり、ワイサック(ブッダ生誕祭)があり、そしてキリスト昇天祭がありと休日が多い月となりました。
せっかくの休みなのですが、なんで祝日になるのかを少しでも理解することも大事かもしれませんね。