インドネシアの地域開発に貢献するATR
インドネシアは17000もの島国で交通インフラとして飛行機移動が欠かせません。インドネシア都市間の距離が近くても途中に大きな山や海があり、道路や線路などの地上インフラがない場所や離島も多いのでどうしても空路での移動となります。しかし、小さな都市ですと都市間移動する人が少なく、採算が取れない路線も多いです。
そこで活躍するのに、少人数近距離他頻度の飛行ができる機材が必要になります。
ATR機はその要望に一番適した機材であり、ウイングエアは、ATR72を60機以上保有し、主要空港と地方空港を結んでいます。
ATRについて
1982年に設立されたATR社は、フランス・アエロスパシアル社とイタリア・アエリタリア社の共同事業体で本社はトゥールーズ(フランス)にあります。エンジンを改良し燃費を改善して短距離や採算のとれにくい地方路線向けに販売しています。創設以来、ATRは今まで約1,200機以上の航空機を販売してきており、90席以下の小型航空機市場で独占状態になりました。日本でも、天草エアラインやJALが運行を開始しています。
ATRを主要運行しているウイングエア
ライオンエアはインドネシアで最も高い市場シェアを誇り、アジアで最も急成長している航空会社です。ライオンエアは、B-737-900ERを主力機体として主要都市間を運航しています。
子会社のウィングエアは2002年に設立され、主にATR72を使用して、主要都市から地方の路線を運航し、ライオンエアから乗り継ぎで地方都市や離島を結んでいます。
ウイングエアはスラバヤ、ジョグジャカルタ、デンパサール、メダン、バタム、マカッサル、アンボン、マナドの主要空港がハブとなり、航空網を形成してインドネシアの地域開発に大きく貢献しています。
ATRは空の景色が抜群
ATR機は、前方部に貨物室があり、乗客は、一番後ろのドアから乗り込むことになります
座席は、2―2の4列配置で、74席の座席配置です。
翼が飛行機上部についているため、窓側であれば、どの席でも上空からの空の景色を見ることができます。ジェット機より低い高度で飛びますので、遊覧飛行のような楽しさがあります。
ATR 72-600は、着陸時に滑走路の視覚化支援を提供できるシステムを備えており、小型飛行機クラスで最新のプロペラ航空機として知られています。
ATRは島国インドネシアで活躍
ウィングエアは現在、ATR 72-500 / 600のタイプのみを運航しています。ATR機は1時間程度の飛行時間の短距離空港間での運用が主体となっており、拠地域間の移動時間を短縮しています。ATR機は、1,600メートル未満の滑走路で離着陸できるように設計されています。
特に、スマトラ島、カリマンタン島、スラウェシ島、パプア島においてのビジネスや観光の短距離市場にぴったりです。
ATR機はターボプロッププロペラで飛行しますので、ジェット機に比べCO2排出量が非常に少ないため、環境保全にも貢献しています。
数千の小さな島々で構成されるインドネシアのように、地理的なインフラ課題を抱えている国は、航空輸送を利用してビジネスや観光を発展させ、教育、医療、家族をつなげる生活インフラにもなります。
インドネシアでの経済発展には、ウイングエアのATR機を通じて離島開発や地域間の人の移動や物流に大きく貢献していくことでしょう。