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【インドネシアバリ島】キンタマーニ高原の村で体験するバリ・ヒンドゥの伝統的儀式の準備

バリ島に到着して、目的地であるキンタマーニ高原へと向かいます。バリ島の友人が、何十年に1回しか行わない伝統的儀式の準備をしているので、見に来ないかと誘われたので、貴重なバリ・ヒンドゥの伝統文化に触れるチャンスと思い、伺うことになりました。

キンタマーニ高原とは

バリ島北部の高原地帯で、バトゥール湖を中心とした大型のカルダラを形成しているバトゥール火山の一体の高原地帯のことで、バリ島の中でも有名な観光地です。約1,000mの標高があり気温が低いため避暑地としても知られています。キンタマーニ高原は多くの部分がバリ州バンリ県のキンタマーニ郡に含まれていて、カルデラの南側がゆるやかな斜面が形成されていて耕作地が多く広がっています。カルデラ内には、バトゥール山の火口が丘となっていて、その周りにバトゥール湖があります。カルデラの外輪の東には、標高2,151mのアバン山がそびえ、その東にはバリ島最高峰3,014mの霊峰アグン山があります。

信仰共同体

今回キンタマーニ郡のバンジャル・アダ・プセ(Banjar Adat Puseh)にお邪魔しました。ここでは、人々の生活レベルでバリ・ヒンドゥの信仰体系を作り支えているのがデサ(村)、バンジャルと呼ばれる地域単位の共同体組織になります。デサ(Desa)は、カヤンガン・ティガと呼ばれる3つの寺院を中心として形成される「村」が形成されています。デサは土地と密接に結びついた共同体となっているので、村人は、供犠や寺院祭礼を通して、デサの領域を宇宙の安定のために清浄に保つ責任があります。バンジャル(banjar)は、デサ内にある地域単位の共同体で、デサ単位で行われるすべての儀礼(ヤドニャと言う)の準備は、バンジャルの人々が共同労働して行うそうです。バリ人はバンジャルとの絆が非常に重要であり、隣人と仲良くやっていかないと地域では生きてはいけない結束の強い組織となっています。年に数回行われるお祭りもバンジャル単位で準備をします。

ピトラ・ヤドニャとは

たまたま、ピトラ・ヤドニャの儀式(Upacara Pitra Yadnya)の準備をしている場所に訪問することができました。バリ人の友人に聞くと、バリに見られるさまざまな儀礼は5つのカテゴリーに分類され、これをパンチャ・ヤドニャ(Panca Yadnya)というらしく、その中でも祖霊への供犠であるピトラ・ヤドニャの儀式は数十年に1回しか行われない特別な儀式です。ピトラ・ヤドニャの儀式は、亡くなった家族のためにヒンドゥ教徒が行う火葬活動のひとつで、人間がこの世に生まれてきたご先祖への恩義を返すために行われます。ご先祖が天国と解放を得ることで、亡くなった両親を含む先祖たちへの神聖な義務が果たされ、彼らが今もつながっていられることが意図されています。

貴重な体験

数十年に1回しか行われないピトラ・ヤドニャの儀式の準備には、バンジャルの長老達が仕切り、お飾りなどの準備をしていきます。お祭の準備には約3週間かけられ、街で働いている若者もこの期間は村に帰り、お祭りの準備の手伝いをします。

バンジャルの人々が200~300人集まる公民館のような屋根のある集会場では、長老や女性たちは細かいお飾りを1個ずつ手作りで作成していきます。

一方、若い男性達は荷物の運び込みなどの力仕事や、食事や飲み物の準備などを担当してきます。作業はピトラ・ヤドニャの儀式に間に合わせるように朝早くから夜遅くまで作業が続き、ときには寝ずに夜通し作業を続けるそうです。儀式にかかる費用は全て村人全員で負担し、1家族数数十万~百万円単位の大金をかけるそうです。

この現代の私たちにとって、数週間も仕事を休んで、儀式の成功のために飾りをつくるなど準備をすることは想像できないと思っていましたが、実際の作業風景を見学させてもらい、すべても村人が笑顔で楽しそうに作業を行っている姿を見て、儀式にかける情熱とバリ・ヒンドゥの伝統を守る使命感がひしひしと伝わってきました。このような儀式の準備の場に立ち会えた事で、すこしでもバリ・ヒンドゥの人々の心に近づけたことを嬉しく思えました。村人の皆さんが見ず知らずの日本人をこんなに歓迎してくれたことにも心から感謝を抱きました。

kenji kuzunuki

葛貫ケンジ@インドネシアの海で闘う社長🇮🇩 Kenndo Fisheries 代表🏢 インドネシア全国の魅力を発信🎥 タコなどの水産会社を経営中25年間サラリーマン人生から、インドネシアで起業してインドネシアライフを満喫しています。 インドネシア情報だけでなく、営業部門に長年いましたので、営業についてや、今プログラミングを勉強中ですので、皆さんのお役にたつ情報をお伝えします。