雨季のマカッサルを早朝に出発、バリ島へのフライトの様子と、到着後に体験したバリの朝の空気感を詳しくご紹介します。バリ島といえば、青い海や豊かな自然、美味しいローカル料理やリラクシングなスパが思い浮かびます。とはいえ、雨季には雲が広がっていたり、突然のスコールがあったりと、天候面でのドキドキもつきもの。それでも今回の旅は、朝早い便でスムーズに到着できたおかげで、朝のバリをたっぷり満喫することができました。観光客でにぎわうバリ島でも、朝の早い時間帯は少しだけ静かで、爽やかな湿り気を含んだ空気が流れています。タクシーの呼び込みや、賑やかなビーチエリアのイメージとはひと味違う、ゆったりとした雰囲気を感じながら、早朝に行動を始められるのはとても贅沢ですよね。
今回のフライトは、バティックエアのA320-200(機体番号PK-LAF)に搭乗。マカッサルを朝6時に出発します。まだ周囲は薄暗い時間帯なので、空港内は比較的落ち着いた雰囲気。しかし、早朝にもかかわらず出張や急ぎの用事で移動する人々の姿もちらほら見えました。搭乗ゲートに向かうと、機体はすでに準備万端といった様子。乗客たちは、荷物を預ける人、スマホで搭乗券をかざす人、それぞれが慌ただしくも静かに列を作っていました。
機内に足を踏み入れると、新しめのシートが並び、各座席には個人用モニターが設置されています。ところが、画面が真っ暗なままでスイッチが入らず、どうやら今回は機内エンターテイメントを利用できない様子。少し残念ですが、フライト時間自体が約1時間ほどと短いこともあり、「このまま寝てしまおうかな」とか「外の景色を眺めよう」というゆとりある気分にもなれます。
定刻通りにドアクローズし、機体がゆっくりと動き出すと、外の薄暗い空に目をやります。厚い雲に覆われていたものの、ほんの一瞬だけ雲の隙間から朝日が差し込みました。太陽の光が雲の合間から筋状に広がるのを見ていると、まるで自然が織りなすミニドラマのようで、ほんの数秒だけど心が洗われるような感覚。そんな小さな感動を味わいつつ、バリ島に向けて離陸です。
離陸後しばらく経つと、朝のフライトらしく機内はとても落ち着いた雰囲気に包まれます。周囲を見渡すと、リクライニングを倒して眠っている乗客も多く、照明もやや落とし気味。客室乗務員の方々も、必要最低限のアナウンスを流す程度で、無駄に乗客を起こすようなことはありません。静寂のなかでエンジン音だけが小さく響き、ちょっとした非日常を味わえます。
そんな中、機内食サービスがスタート。といってもフルミールではなく、チーズパンとミネラルウォーターという軽食です。朝早く起きて十分に食事をとらなかった人や、まだ眠気が残っている人には、ちょうどいいくらいのボリューム。短いフライトなので、これくらいの簡易サービスがかえってありがたかったりします。座席周りも混み合っておらず、通路にも立ち上がる人が少ないので、スムーズに受け取ることができました。私はパンをほお張りながら、外の景色を眺めたりして過ごします。雨季の雨雲の下を飛んでいるので、視界が良くない時間が続きますが、ときおり雲の切れ間から見える青空や海の色に心が躍ります。こうして雲の上を移動していると、いつもの日常とは違うワクワク感がじわじわと込み上げてくるのを感じる瞬間でもあります。
やがて、窓の外にペニダ島の緑の丘と海岸線が見え始めます。バリ島本島の南東に位置し、ダイビングやシュノーケリングでも人気のペニダ島。「お、バリの空港に近づいてきたな」と思うや否や、機体はじわじわと高度を下げ、ングラライ国際空港に向けてアプローチ。しばらくすると、海面がぐんと近づいてきて、小さな波が見えるほどになりました。
バリ島の着陸では、海の上を滑るように進みながら滑走路に近づく印象が強いです。もし雲が多くても、海が近いことが視界に入るだけで気分が上がりますよね。時計を確認すると、到着予定時刻よりも20分ほど早い時間。遅延もなく予定よりも早く到着できるのは嬉しいサプライズです。
ターミナルに接続されたボーディングブリッジから外へ出ると、バリ島特有の空気がふわりと感じられます。気温は高めですが、まだ朝の時間帯なので暑さがやわらかく、湿度を含んだ海風が肌をかすめる心地よさ。空は曇っているものの、雨は降っていない模様で、週末スタートとしてはまずまずのコンディションといえそうです。
国内線到着エリアに足を踏み入れると、乗り継ぎや他の便とのバッティングが少ないためか、まだそれほど混雑はありません。手荷物受取所も大行列とは程遠い状況で、スーツケースやバッグを受け取る人もサクサクと出口へ向かっています。
マカッサルから飛ぶ便のなかでは、シティリンク便に続く2番目の早い到着だったようで、まだ空港全体が目覚めきっていないという印象でした。
空港のターミナルを出ると、さっそく声をかけてくるタクシーの呼び込みの人たち。バリ島では珍しくない光景ですが、私は今回はあえて空港の外まで歩いてみることにしました。チェックインまで時間があるので、のんびりと朝の空気を味わいながら移動するのも悪くないのです。
空港を出て数分歩くと、クタの街並みが少しずつ見えてきます。クタといえば、ビーチやショッピングモール、レストランやクラブなどが建ち並ぶにぎやかなエリア。昼前には観光客も増えて活気づきますが、朝の時間帯はまだ街が完全には動き出しておらず、ゆったりとした雰囲気に包まれています。
道すがら、行きつけのコンビニが目に入ったので、そこでさっそくいつものコンビニコーヒーを購入。バリ島には本格的なカフェやおしゃれなコーヒースポットがたくさんあるけれど、コンビニコーヒーを「とりあえず一杯」飲める気軽さも捨てがたい魅力です。まだ少し肌寒さを感じる朝の風を感じながらコーヒーを啜ると、じわっと身体が温まり、目が覚めていく気がします。早い到着だからこそ、午前中に何をしようか自由度が高いのは大きなメリットです。こうして朝早くにバリ島へ到着すると、一日を有効に使えるのが最大の魅力。今回はどんなふうに午前中を過ごして、どこへ立ち寄ろうか。天候を見ながら動きを決めるのも、雨季ならではの柔軟さが必要です。カフェでゆっくり計画を立てたら、思い切りバリ島を満喫しようと思います。