インドネシアの食糧問題!米が足りない!
インドネシアでは、元々米や麺がよく食べられていますが、「米を食べないと食事をしたことにならない」と言われるほど、米を食べる文化が強く根付いています。インドネシアは、赤道直下の恵まれた熱帯性気候を背景に、一年中安定した気温(24℃〜33℃)で農業が行える国です。ここでは、特に米の栽培が盛んですが、最近になって、一つの大きな課題が顕著になってきました。それは、増加する人口と消費に対して、米の生産量が追いつかないという問題です。
米を中心とした食文化の重要性
米はインドネシアの人々の主食であり、インドネシア料理には米に合わせて食べるおかずが数多く存在します。インドネシアの米は日本の粘り気のある米とは違い、粒が細く粘り気が少ないのが特徴です。インドネシアにおける2020年の米の年間消費量は一人当たり94.9kgで、これは日本の年間消費量56.5kgの約1.6倍です。世界第3位の生産量を誇るコメは、インドネシア国内でも主食になっています。しかし、国内の供給が行き届いていない地域では、コメ不足が発生しています。
インドネシアは赤道直下にある熱帯性気候の国で、1年間を通じてほぼ気温の変化はありません。どの時期の気温も「24℃〜33℃」の間に収まることが多いです。季節は5月〜10月は乾季、11月〜4月は雨季と大きく分けられます。年間を通じて温暖な気候であるため、二毛作または三毛作で栽培することが可能です。恵まれた環境で豊富な生産量を誇る国ですが、一方で品種改良が進まない、サプライチェーンの発達が遅れている、などの課題も抱えています。
生産と消費のミスマッチ
2020年から2023年の間、インドネシアの米生産量は、米国農務省(USDA)によると、一貫して消費量を下回っています。2023年を通じて、インドネシアの精米生産量は3,400万トンと記録されましたが、これは2022年と比較して1.2%の減少を意味します。気候危機による不作が引き金となったことも要因です。さらに懸念されるのは、同年の米消費量が3,570万トンに達すると予想され、前年比1.1%増加することです。この数字から、2023年の精米供給不足は約170万トンに達すると予測されています。
赤線:消費量 青:生産量 単位:JUTA=100万トン
政府の対応策と人口増加の影響
今後更にインドネシア国内の人口が増加するにつれ米の生産量が消費量に追いつかなくなると予想しています。インドネシア政府は、この供給不足の問題に対応するため、2024年までに国内の米消費量を7%削減するという野心的な目標を掲げています。これは、人口増加の影響を考えると、特に重要な取り組みです。
このような状況の中、インドネシアは米の大量輸入に頼ることも増えています。2024年1月のインドネシアの米輸入量は、44万3千トンに達し、金額にして2億7,920万米ドルと報告されています。これは、前年同月の243.66千トンから約82%増加した数値です。輸入米の大部分はタイからのもので、23万7千トン(1億5,300万米ドル相当)を占めています。
国家戦略食料価格情報センター(PIHPS)のデータによると、全国平均米価格は(2024年1月30日)に1キログラム(kg)当たり14,950ルピアに達しました。ジョコ・ウィドド大統領は、米価格の上昇とそれが国民生活に及ぼす影響を軽減するため、食料に対する社会援助プログラムを強化しています。このような政府の取り組みは、気候変動による不作や国際的な価格変動の影響を受けやすい国内の食糧安全保障を支えるために不可欠です。
食生活の多様化へ
インドネシアの人々は、米を中心にした食文化を持ちながらも、食生活の多様化を進め、安定した食糧供給への課題に立ち向かっています。特に中間層の拡大から食生活が多様化し、パンやそれ以外の食材なども主食として徐々に消費されるようになってきています。特に、米に次ぐ主食としてのパンやその他の食材の消費が徐々に増加していることは、この変化を象徴しています。
インドネシアは人口増加が続き、2050年には人口3億人を超えると予測されているため、安定的な食糧の供給は急務とされており、インドネシア農業省はインドネシア国内の更なる食の多様化が国内の安定的な食糧供給の課題解決策の一つとしています。
人気記事海外送金!インドネシアから日本に送金、ワイズ(Wise)とトップレミット(Topremit)どちらが良いか?