インドネシアでは、元々米や麺がよく食べられていますが、「米を食べないと食事をしたことにならない」と言われるほど、米を食べる文化が強く根付いています。米はインドネシアの人々の主食であり、インドネシア料理には米に合わせて食べるおかずが数多く存在します。インドネシアではどうして米を食べるようになったのでしょうか。本日は、インドネシアに米文化が根付いた理由についてお話します。
インドネシアの米は粒が細く粘り気が少ないのが特徴です。白米のご飯(ナシプティ)を食べるとパラパラしているので、日本の粘り気のある米とは違い最初は違和感ありますが、ナシゴレンなど炒飯にするとより美味しくなります。
中央統計局(BPS)の報告によると、インドネシアにおける2019年のインドネシア全国の米消費量は2,869万トン、2020年の米の年間消費量は一人当たり82.2kgで、これは日本の年間消費量50.7kgの約1.62倍です。
2020年の米の生産量は、白米ベースで3,134トン。2021年は3,167トンになると推計されています。
日本では単身世帯の増加や共働きによる社会構造の変化により、ごはんを家で炊いて食べる割合が減り、米の消費量は減少傾向ですが、インドネシアでは人口が毎年増加しているため米不足も起こっています。
インドネシアの主食はもともと、トウモロコシやサツマイモが中心でしたが、スハルト政権時代に、自給自足政策を推進するため米の栽培を推奨し、「米を食べると健康的であり社会的地位が向上する」と米消費を推進してきました。米が他の主食よりも味が良かったことも貢献し、インドネシアで米を主食で食べる文化が根付きました。
1970年台からスハルト政権の米を主食にする戦略は、その後需要が供給を上回り現在、ギャップを埋めるために一部米の輸入に依存しています。
インドネシアでは「米なしでは満腹にならない」という環境で生きてきていますので、米が唯一の炭水化物源であるという考えを持っています。
米には繊維と重要なビタミンが詰まっています。しかし、専門家によると白米に過度に依存している不均衡な食事は血糖値を上昇させるため、糖尿病の増加に関連していると言われています。
インドネシアでは肥満率も上昇していて、特に女性の40%は肥満だそうです。インドネシアでの1日の摂取カロリーは830Kcalを米で賄っているそうで、野菜をほとんど食べない食生活を送っています。ワルンやレストランでのインドネシア人の食事を見ても、白米の周りに油で揚げた鶏や魚をおかずにして、野菜のおかずは少ないようです。
近年では、中所得層の拡大からパンやそれ以外の食材も主食として徐々に消費されるようになってきていますが、インドネシア人の米好き文化は簡単には変えられそうもありません。