ビックマック指数を見るとインドネシアと日本の経済がわかる!

Business Indonesia

コロナ禍の影響で世界経済が大きく変わろうとしている中で、2020年7月英国の経済誌『エコノミスト』から、最新のビッグマック指数が発表されました。ビックマック指数からインドネシアと日本を比較しました。

ビックマック指数とは

1843年に創刊された英国誌の「エコノミスト」が考案した、経済指数のひとつです。

マクドナルドで販売されている「ビッグマック」の各国での販売価格をもとに算出されています。マクドナルドは世界中にあるので、ビックマックを価格面で比較して、その国の物価や消費者の購買力を探ることができます。ビックマック指数は、誰もが理解できるシンプルな経済指数として人気があります。

ビッグマックはマクドナルドでの商品仕様(素材・構成)は、世界でほぼ共通しています。
ビックマックに使用される食材は、各国現地法人が自国で生産または輸入して、価格交渉を経て仕入れています。店舗の賃料や人件費なども国によって大きく異なってきます。

そう考えると、ビッグマックの価格が国によって異なるのは当たり前です。
仕様は同一なのに商品の生産費用が異なりますので、それらが反映されて決まる価格も当然異なるというわけです。

つまり、ビッグマックの価格を通してその国の法人・個人の購買・消費傾向と何らかの関係が分かるのではないか、その国の物価が分かるのではないか、と考えられているのです。

一物一価の法則による購買力平価説

関税などの貿易に関する障壁がまったくない世界があり、そこでは自由な取引が行われているとしたら、国が違っても同じ物は同じ価格で販売されることを「一物一価の法則」といいます。「ビッグマックはどこの国でも同じ価格で販売されている」ということになります。

この一物一価の法則が成り立つような2国間の為替相場を「購買力平価」といいます。

日本でビックマックが390円で販売されており1ドル=107円であれば、仮に米国でビックマックが3.65ドルで販売していれば、購買力平価が成立しています。

しかし、実際米国では、5.71ドルで販売されており、日本円で換算すると613円となり、日本人がアメリカに旅行するとビックマックが高いと感じます。

もちろん、実際には貿易障壁は存在しますし、消費税など各国固有の税制もあるので、理想空間は存在しません。経済学者は、理想空間に近い自由な市場では一物一価になるように為替レートが動くのではないかという仮説として提案されたものになります。

つまり、ビックマックの例ですと、
日本でのビッグマックの価格は390円、米国では5.71ドルです。
ビッグマック指数 マイナス36.3 

一物一価の想定為替レートは、1ドル=68.3円となります。

ビックマック指数が発表された2020年7月時点の為替レートは1ドル=107.275円です。

ビッグマック指数のコンセプトにもとづいて考えると、為替相場は今後円高ドル安になっていくと予測になります。

販売価格が高いランキング(56ヵ国)

1位 スイス   (6.91ドル、741円)
2位 レバノン  (5.95ドル、639円)
3位 スウェーデン(5.76ドル、617円)
4位 米国    (5.71ドル、613円)
5位 ノルウェー (5.55ドル、595円)
25位 日本    (3.64ドル、390円)

次に販売価格が安いランキングを示します。

56位 南アフリカ (1.86ドル、199円)
55位 ロシア   (1.91ドル、205円)
54位 トルコ   (2.04ドル、219円)
53位 ウクライナ (2.17ドル、233円)
52位 メキシコ  (2.23ドル、239円)
48位 インドネシア(2.36ドル、253円)

なお、日本は3.64ドル(390円)。調査対象国の全56か国中、高価な国から数えて25番目、安価な国から数えれば32番目と、先進国のなかではとても安価に提供されている国といえるでしょう。

出展:「エコノミスト」ビックマック指数データ2020年7月から表を作成

インドネシアのビックマック価格

インドネシアは、2.36ドル、253円と安い部類です。
日本と米国のような先進国同士で比べた時の指標としては参考になりますが、開発途上国は人件費や物価が違うので比較が難しくなります。

ジャカルタの2020年月額最低賃金は4276349ルピア=約31600円(1円=135ルピア)
東京の最低賃金時給1013円✕8時間✕20日=162080円ですので、約5倍の賃金格差があります。

インドネシアのビックマックは、日本円で253円ですので、インドネシア人にとっては、非常に高価な食事となります。
ローカルの屋台の食べ物は10000~15000ルピア(80~110円)で食べられますので、2食分以上の高い価格と言えます。

しかし、インドネシアのマクドナルドは若い人を中心にかなり流行っており、ハンバーガーやポテトを食べている姿を見てインドネシアも裕福になりつつあると感じます。

まとめ

ビッグマック指数は、誰もが理解できる経済指標と、購買力平価説という経済理論をベースにしているという点で、おもしろいと言えます。
ビッグマック指数は今後の為替レートの推移を予想する上で役立つ指数とされています。必ずしも為替レートがビッグマック指数通りに動くとは限りませんが、参考になる数値のひとつとして利用する価値はあるといえます。
日本とインドネシアの経済を勉強する上で、参考にしてみても良いのではないでしょうか。

 

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