ビラのWOYWOY PARADISEで朝を迎えました。マカッサルでは朝日が山から上がるため、地平線からの朝日を見ることができません。しかし、ビラでは海から昇る朝日を一目見ようと、朝5時に起床してスタンバイしていました。
現在の季節風である東風(musim Timur)がかなり強く吹いており、少し寒さを感じました。海は風に煽られて波が高く、断崖に打ち付ける様子は迫力があります。
海岸線に立ち、雲の隙間から昇る朝日を待ちました。徐々に空が明るくなり、ついに太陽が顔を出しました。夕陽の感動的な雰囲気とは違い、朝日は力強く光を放ち、暗闇を照らし出して一気に世界を明るくしていきます。この自然豊かな地での朝日の眺めは、心を清々しくさせ、新たな1日の始まりを感じさせてくれます。スラヤール訪問の旅も最終章に入り、いよいよマカッサルへの帰路に着きます。
ビラを出発するのは朝7時です。できるだけ午前中に移動を済ませ、早めにマカッサルに戻る計画を立てました。ビラからマカッサルまでの距離は約200kmあり、高速道路はなく、すべて一般道での移動となります。通常ノンストップでも5時間かかるため、休憩を挟みつつ7時間の移動時間を見込みました。午後14時前後にはマカッサルに到着する予定です。
ビラのあるブルクンバ県からスラウェシ島の南海岸を通る幹線道路は、交通量が多いものの、完全に舗装されているので比較的快適です。
道中の風景は、広大な海と緑豊かな山々が織り成す美しい景色が広がります。地元の人々の生活を垣間見ながらのドライブは、旅の醍醐味の一つです。ブルクンバを過ぎてバンタエン県に入ります。
バンタエン県での朝食を予定していましたが、偶然にも元南スラウェシ州知事の娘さんから連絡があり、朝食を一緒に取ることになりました。元知事もたまたま帰省しており、自宅に招待されました。バンタエンの街から少し離れた大邸宅に到着すると、突然の訪問にもかかわらず、大歓迎を受けました。
元知事はバンタエン県知事も経験されており、バンタエン県の魅力について熱心に話してくれました。彼は九州大学を卒業しており、日本語も堪能で、会話が非常にスムーズでした。彼との会話は尽きず、バンタエンの歴史や文化について多くを学ぶことができました。
しかし、マカッサルに戻らなければならないため、1時間ほどの滞在で出発することになりました。突然の訪問にもかかわらず、温かい歓迎を受けたことに感謝しました。
バンタエン県を過ぎるとジェネポンド県に入ります。ジェネポンドは塩の街として有名で、海水を引いて塩を作る風景が広がります。小高い丘から見下ろす塩田は、昔ながらの製塩方法を守り続けている場所です。こうした風景はどこか懐かしさを感じさせ、和やかな雰囲気に包まれます。
ジェネポンドを過ぎるとタカラル県に入ります。
タカラルに入ると、マカッサルまであと一息です。2度目の休憩は、タカラルにある有名なドーナツ屋「Donat Kampar Galesong」に立ち寄りました。この店は地元で最も成功したドーナツ屋で、常にお客が訪れ、大量のドーナツが飛ぶように売れています。
ドーナツは注文を受けてから作り、色とりどりの甘いソースをかけて提供されます。甘いものが苦手な私はソースを付けず、プレーンの状態で注文しました。
店員が不思議そうに思う中、揚げたてのドーナツを試食すると、ほんのり温かいふんわりとした生地が口の中で広がり、優しい甘さが絶妙でした。ついでにシュークリームも購入し、再び出発しました。
タカラルを過ぎると、ゴワ県に入ります。ゴワ県はマカッサルに隣接しており、町並みもマカッサル同様に発展しています。かつてゴワ王国が栄えた地で、多くの歴史的建造物が点在しています。ゴワ県は広く、山岳地帯まで含まれますが、スングミナサと呼ばれる地域はマカッサル市と同様に賑やかです。
14時過ぎに予定通りマカッサルに到着しました。長い道のりでしたが、無事に到着し、スラヤール島への長旅が終了しました。多くの経験と出会いに感謝し、この旅がもたらした思い出を胸にこれからもマカッサル滞在が続いていきます。