バリ島の豊かな文化と芸術を堪能するため、ウブドに位置するアントニオ・ブランコ美術館(Blanco Renaissance Museum)を訪問しました。この美術館は、フィリピン生まれの画家アントニオ・ブランコの作品を展示しており、彼のユニークな世界観とバリ島の美が見事に融合した場所となっています。今回はこの美術館の魅力についてご紹介します。
アントニオ・ブランコは1911年9月15日にフィリピンのマニラで生まれました。彼の両親はスペイン人で、ブランコはスペイン語、英語、タガログ語、フランス語、インドネシア語、バリ語の6か国語を話しました。彼はニューヨークのナショナル・アカデミー・オブ・アートで学び、その後世界中を旅し、1952年にバリ島に定住しました。
アントニオ・ブランコ美術館は、インドネシアのバリ島ウブドに位置する美術館で、フィリピン生まれの画家アントニオ・ブランコの作品を展示しています。
ウブド王宮から2kmの見晴らしの良い丘の上にあるこの美術館は1998年12月28日に開館し、ブランコの元自宅兼スタジオを改装して作られました。
美術館はバリの伝統的な建築様式とロココ様式を融合させたもので、豪華なステンドグラスのドームや装飾的な柱、螺旋階段が特徴です。
庭園にはバリの生活を感じさせる要素が散りばめられています。2004年には政府の許可を得て鳥類保護区としても機能するようになり、絶滅危惧種のバリ固有種であるジャラックプティが見られます。
その他、色とりどりのオウムやインコが何匹もいて一緒に記念写真も撮影できます。
ブランコの絵画は主にバリの女性、特に裸婦を描いたものが多く、「永遠の女性性」を表現する画家として知られています。彼の作風はロマンティックで表現主義的な要素を持ち、夢のような雰囲気を醸し出しています。バリの女性の裸体を大胆かつ官能的に描き、その表現は時に挑発的です。流動的な筆致と多様な様式が特徴で、リアリズムから印象派、そしてロマンティック・エクスプレッショニズムへと発展しました。ブランコは自身の作品のためにユニークなフレームをデザインし制作することもあり、それらは絵画のテーマを補完する役割を果たしています。
ブランコの作品はバリの風景や文化的要素を取り入れ、西洋的な技法とバリの伝統的な要素を融合させたものです。そのため、彼は「バリのダリ」とも呼ばれ、その作品は彼の奇抜な個性を反映しています。神秘的な丘の上の家で、ブランコは独特なコラージュや散文を情熱的に制作し続けました。作品の多くは、愛する妻ロンジの幻想的なポートレイトとなっておりユニークな額縁で飾られています。心に残る色使いや筆使いに感動し、エロチックな感じよりも素敵な額縁まで含めてブランコ氏の人生の深さを感じました。彼の作品は多くの著名人にコレクションされており、その芸術的価値が広く認められています。彼の独特な絵画の世界は、インドネシア国内はもとより海外でも認められ、多くの賞を受賞して世界的なオークションでも大きな評価を得るようになりました。
ブランコが人生最後に望んだものは、仕事場を美術館にすることでした。美術館が完成を見ずに1999年に88年間の生涯を終えてブランコは永眠しましたが、息子で画家のマリオ氏によって美術館は完成し、ブランコの夢はかなえられました。美術館内にはブランコのアトリエや未完成の絵画が展示されている部屋もあり、見応えがあります。
アントニオ・ブランコ美術館は、アントニオ・ブランコの芸術とバリの文化が融合した特別な空間です。彼の独特な作風とバリの美が見事に調和し、美術館全体が一つの芸術作品のように感じられます。美術館の敷地内では、ブランコの創造的なエネルギーとバリの自然が織り成す風景を楽しむことができます。また、彼の作品を通じて、バリの女性の美しさやバリ文化の奥深さを再発見することができるでしょう。
アート愛好家はもちろん、バリ島の文化に興味がある方や、独特な雰囲気の中でリラックスしたい方にもおすすめのスポットです。バリ島を訪れる際には、ぜひアントニオ・ブランコ美術館に足を運び、その魅力を体感してみてください。
開館時間: 毎日午前9時から午後5時まで。
入場料: 外国人観光客100,000ルピア、KITAS55,000ルピア