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インドネシアにおける後払い決済サービス『Buy Now, Pay Later』の革新と普及

インドネシアで、革命的な後払いサービス「Buy Now, Pay Later」(BNPL)が話題となっています。このサービスは、「今買って、後で支払う」というシンプルなアイデアに基づいていますが、その背後には、インドネシアの経済と社会における深い意味があります。

BNPLとは?インドネシアでの後払い革命

インドネシアはASEANで最大の人口と経済規模を誇りますが、その経済成長に伴い、金融インフラの発展が追いついていません。銀行口座を持っているのは人口の約半分だけで、クレジットカードの保有率はわずか5%以下です。これは、日本のような先進国と比べると、驚くべき数字です。このように我々が当たり前と感じているインフラが普及していない一方で、移動体通信網やスマートフォンなどのITデバイスは、欧米の先進国に並ぶ勢いで普及しています。この社会インフラの濃淡の違いは、日本の常識ではアンバランスで奇異に感じられるかもしれません。しかし、これはインドネシアをはじめとする東南アジアのインフラ環境の特徴として認識すべき事実です。このようなインフラ環境のもと、アジア諸国では、近年のIT技術の発展を大いに享受し、電子マネーをはじめとするFintechの普及が急速に進んでいます。

現在、インドネシアではクレジットカードよりも手軽に利用が可能な、BNPLと呼ばれる後払い決済サービスが拡大しています。Fintech決済サービスの一つとして、利用者に後払い決済を提供するこのBuy Now Pay Later(BNPL)は、その名の通り「今買って、後で支払う」サービスです。後払いを行う点ではクレジットカードとの違いはありません。その理由は、日本では私たちがクレジットカードを普通に所有しており、後払い環境を利用しているからです。その前提として、クレジットカードを作成する際には銀行口座が必要であり、支払い能力に関して複数の審査を受けています。

インドネシアの金融インフラとBNPLの役割

一方で、銀行口座の保有率が約50%のインドネシアでは、クレジットカードを持つことが難しい方が多いのも現状です。BNPLは、移動体通信網を利用できるスマートフォンを持っていれば、銀行口座を持っていない方でも利用できるため、特に社会インフラが整っていないインドネシアにおいては、非常に需要が高いサービスと言えるでしょう。

BNPLサービスの特徴と利用者へのメリット

BNPLは、事業者がお店に対して立て替えをするため、クレジットカードを持っていなくても後払いすることが可能です。BNPLの利用にあたり個人情報の入力は必要になりますが、クレジットカードの審査よりも簡単で、且つ分割支払いも可能であるため、支払い能力が低い若者でも大きな金額の買い物をすることが可能になりました。

このギャップが、BNPLサービスの急速な拡大を後押ししています。BNPLは、銀行口座やクレジットカードがなくても、スマートフォンがあれば誰でも利用できる後払いサービスです。簡単に言うと、オンラインでショッピングをした後、商品を受け取ってから支払うシステムです。与信審査がほとんどないため、若者や銀行サービスを利用できない人々に特に人気があります。

BNPLとクレジットカードの違いは、与信審査・利用限度額、利用開始の手続き、手数料などにあります。BNPLでは、利用者の返済能力を確かめる与信審査が原則ありません。途上与信では、利用者の取引履歴などをもとにして、BNPL事業者独自のスコアで審査が行われます。クレジットカードでは、法律上必要な信用情報機関での与信審査があり、ローンの支払い遅延や多重債務の履歴がある場合、利用できない場合があります。

BNPLは、メールアドレスや電話番号などを登録し、アカウント作成が完了すると、すぐに利用開始できます。クレジットカードは、申請後、カードが届くまでに2週間〜4週間ほどかかります。

クレジットカードの利用時には、分割払いを選択すると手数料が発生しますが、BNPLを導入することで、クレジットカードを持たない層も購入しやすくなり、顧客層の拡大に繋がります。

市場での受容と利用拡大、注意点と将来性

インドネシアのBNPL市場をリードするKredivoによると、2022年時点でBNPLを利用している人の割合は33%に達しています。これは、特にオンラインショッピングが好きなミレニアル世代を中心に増加しています。

しかし、BNPLには注意が必要です。利用者は支払いを延滞すると遅延金が発生する可能性がありますし、無計画な利用は予算を超えた支出につながることもあります。ですが、BNPLは分割払いが可能で、特に大きな買い物をしたいけれども一度に支払うのが難しい若者にとっては魅力的な選択肢です。

一方で、インドネシアの主要な民間銀行やデジタル銀行もBNPL市場に参入しています。これにより、伝統的な金融サービスとデジタル経済の架け橋としての役割を果たし、より多くの人々が金融サービスを利用できるようになります。さらに、BNPLの普及は、オンラインビジネスの拡大にも大きく貢献しています。

BNPLのようなサービスは、インドネシアだけでなく、世界中で金融のデジタル化が進む中で、重要な役割を果たしています。銀行口座やクレジットカードがなくても、誰もが簡単にオンラインショッピングを楽しめる時代が来ているのです。

kenji kuzunuki

葛貫ケンジ@インドネシアの海で闘う社長🇮🇩 Kenndo Fisheries 代表🏢 インドネシア全国の魅力を発信🎥 タコなどの水産会社を経営中25年間サラリーマン人生から、インドネシアで起業してインドネシアライフを満喫しています。 インドネシア情報だけでなく、営業部門に長年いましたので、営業についてや、今プログラミングを勉強中ですので、皆さんのお役にたつ情報をお伝えします。