インドネシアはナシ・チャンプルという国民食があります。沖縄ではゴーヤ・チャンプル、長崎には長崎ちゃんぽん、という料理がありますよね。
全て同じ様なことばで「混ぜる」の意味です。語源を調べてみたら、ポルトガルにも同じ様な言葉があると知ってさらに驚き!
今回は、チャンプル・ちゃんぽんの語源についてまとめたいと思います。
インドネシア語でチャンプル(campur)は「混合、混ぜる、ごちゃ混ぜにする」の意味です。
インドネシアの国民食はナシ・チャンプル(nasi campur)と呼びます。ナシは、ご飯の意味ですので、混ぜご飯と言いたいところですが、ご飯を盛ったお皿に自分好みのおかずを乗せた食事の事をナシ・チャンプルと呼びます。
必ずしも混ぜ合わせて食べる事ではなく、複数のおかずを寄せ集めたご飯との意味になります。
沖縄方言でチャンプルとは「混ぜこぜにしたもの」の意味です。野菜や豆腐に限らず、様々な材料を一緒に炒める主な材料の名前をつけた形で料理名となり、ゴーヤ・チャンプル、豆腐・チャンプルなどと呼ばれています。
長崎ちゃんぽんに代表される、「ちゃんぽん」も「さまざまな物を混ぜる事、または混ぜたもの」を意味しています。ちゃんぽんは、カタカナ表記ではなく平仮名が一般的なのも面白いですね。
ちゃんぽんの語源は諸説ありますが、有力な説は、中国語でさまざまな物を混ぜる事を意味する「攙 (chān)」と、食物を油で炒めて調味料を入れ、すぐに火からおろし煮る料理法を意味する「烹(pēng)」を合わせた「攙烹(ちゃんぺん)」とするものが有力だそうです。
その他、中国、福建省の方言で簡単な御飯の意味の、喰飯(シャッポン)がなまったものからという説や、当時の中国人の呼び方である「チャン」と日本人の「ポン」を取ってチャン+ポンと名付けたなど、色々あるそうです。
また、ちゃんぽんは料理名だけでなく、「混ぜて飲む」という意味でも使われ、複数の種類のお酒や薬を同時に飲む事でも使われます。
韓国でも「チャンポンハダ」は、2種類以上のお酒を飲も事や、異なる行動や言動を混ぜて行う事にも使われ、なにか共通性がありそうです。
チャンプル、ちゃんぽんと同じような言葉がアジア圏で共通に使われていることは、珍しい事のように思います。しかも、どの国地域でも「混ぜる」という意味で共通しているのも面白い事実です。
すっかり中国語から華僑によって、沖縄やインドネシアに渡って、チャンプルが定着したとのかと思いきや、実はポルトガル語にも混ぜるという意味の「チャンプル」に似た単語があるそうです。
インドネシアは、オランダ統治時代以前はポルトガルが当時のマラッカ王国(今のマレーシア、インドネシア)を陥落させて統治した時代がありました。
当時、マラッカ王国と琉球王国は交流もしていましたので、もしかしたら、ポルトガル人が「チャンプル」の言葉をインドネシアや沖縄に伝えたとも考えられます。
その後、江戸時代にポルトガル船が平戸や長崎へ出入りする際に「チャンプル」伝え、チャンポンに音が変化し、明治中期に長崎の中国料理店主が「長崎ちゃんぽん」をメニューにしたのだろうという仮説です。
さらに、戦前の日本による朝鮮半島統治の時代に「チャンポンハダ」として言い伝わったのではないかと言うのが、辻褄があっているような感じがします。
チャンプルという言葉が、ポルトガルを起点としてインドネシア・マレーシアを含む東南アジアから、沖縄、長崎を経由して韓国まで伝わったというのが自然な感じがします。
チャンプルやちゃんぽんの本当の語源の由来は色々な説があり、正解はないようですが、日本とインドネシアで同じ意味で使われているのは非常に興味深いことです。
言葉が海を渡って、その土地の郷土料理の名前になり今もその地域の食文化として根付いていることをで、言葉の成り立ちの起源として大交易時代の交流を想像するのもロマンがあって面白いですね。