インドネシアのスハルソ・モノアルファ国家開発企画庁長官はロイターが8月18日に行ったインタビューで、ジョコ・ウィドド大統領が昨年打ち出したカリマンタン島(ボルネオ島)への首都移転計画が棚上げになっていることを認めました。
インドネシアでは、新型コロナウイルス感染者が14万5千人となり、いまだ終息とはいかない状況です。新型コロナウイルスのワクチン開発や国民への配布など、感染流行の克服と経済回復を「最優先する」との事です。
インドネシア財務省は、2021年予算で、首都移転に向けた資金配分が困難という見方を示していて、新型コロナウイルス感染拡大による経済的な打撃が長引くとされる中、移転にかかる費用の支出を止めコロナ対策費用にすることとなりました。
政府与党内では、当初から目標としてきた24年までに一部機能移転を完了させる計画が、後ろ倒しになるという見方が強まっていますので、ジョコウィ大統領の任期である2024年までに新首都建設が難しい状況です。
首都移転はジョコウィ大統領がちょうど1年前に正式表明された重点課題です。
ジャカルタ近郊の過密緩和やジャワ島外の発展促進などが目的になります。
首都東カリマンタン州のプナジャム・パセル・ウタラ県北部分と、クタイ・カルタヌガラ県の一部を範囲とし、広さは約25万6千ヘクタールにおよぶ。工事は2021年から開始する予定。移転にかかる費用は466兆ルピア(約3.5兆円)を見込む大きなプロジェクトです。
首都ジャカルタは人口過密や交通渋滞のほか頻繁な洪水、地下水のくみ上げ過ぎによる地盤沈下に見舞われており、そうした問題を解消するための首都移転計画はジョコ氏の目玉政策でした。
首都移転に関しては、一部費用を民間資金活用で事業を推進する考えでいました。
しかし内外資含め、投資が伸びる気配はありません。
ジャカルタの渋滞や環境汚染、地盤沈下が起きてからの事を考えると早期に首都移転の動きが始まるのが理想ですけれども、インドネシアでコロナが収まって、経済が元通りになるまでは、進展がなさそうです。