新型コロナウイルス時代に中国に偏った企業のサプライチェーン(供給網)見直しを促す日本政府の取り組みは、インドネシアなどの東南アジア諸国に恩恵をもたらす可能性があります。
日本政府は、新型コロナの感染拡大や米中関係の悪化を踏まえ、サプライチェーン強靱(きょうじん)化プログラムの第1弾として、東南アジアで生産を増強する企業30社に計約120億円の補助金を出しています。
中国など一国へのサプライチェーンの依存低下を目指しており、こうした補助金によって中国からより生産コストの安いインドネシアやベトナムなど近隣諸国への移転が加速する可能性があります。
新型コロナの感染拡大、そして都市封鎖が続き、世界中の企業経営者や政府関係者は、生産拠点としての中国への依存を減らすためにサプライチェーンの見直しが急務となりました。
新型コロナ感染症が拡大する前から、日本は人口が増加している東南アジア5カ国への投資(ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシア、タイ)は、過去10年2~3倍ペースで増加しています。
インドネシアの投資の大部分はインフラ開発で、鉄道や病院の建設で日本と中国で競争しています。
ジャカルタ初の地下鉄網整備など日本からの投資拡大で恩恵を受けていて、近年パナソニックとデンソーなど大手企業がインドネシアに工場を移転してきています。
インドネシア投資調整庁は「日本企業が工場を中国からインドネシアへ移すトレンドがある」とコメントしています。
米中貿易冷戦や東南アジアにおける中国の存在感拡大を巡る懸念も、日本と東南アジア諸国との経済関係の強化を促進しています。
東南アジアはインフラなど中国より10-20年遅れていると言われていますが、その分年齢若く人件費も安い。現在の中国は、あまりにも危険なので中国離れは妥当な動きでしょう。
中国には政治的リスクのほかにも、気候的なリスクや、人件費高騰のリスクなども今後色々出てきますので、体力のある日本企業はリスクを分散する方向に加速するでしょう。ASEAN諸国のインフラ整備もだいぶ進んでおり、ITなどのインフラは場所によっては日本より進んでいます。人件費も中国より安く、しかも政府の補助付きとなれば、生産拠点を中国に構えていた企業は東南アジアへ生産シフトするでしょう。
今後、中国からの脱出は、東南アジアに恩恵をもたらします。それ以上に、日本企業に多大な利益をもたらすでしょう。今後日本は、東南アジア諸国と密接に連携しなければならない時代が到来することでしょう。