バリ島出身の人の名前を聞くと、バリ人の名前は異常にかぶっている事に気が付きます。バリ人の名前は、カーストの位と生まれてくる順番によって決められていているので、会う人みんな、ワヤンさんかマデさんとなります。そんなバリ人の不思議な名前の付け方について、お話します。
バリ島には、バリヒンドゥーに基づくカースト制度があり、4つの階層があります。インドのようなものとは異なりソフトカーストとも呼ばれています。
バリ人は、インドネシア語とバリ語を使って生活しています。インドネシア語はインドネシアの共通語であり、バリ語はバリ島オリジナルな言葉です。2つの言葉は基本的な文法や発音が全く異なりますので、インドネシア語が理解できてもバリ語は全く意味がわからないことになります。
バリ語は、5種類があり、カーストによって異なる言葉使いがあるようです。初対面でカーストがわからない人に対しては、失礼にならないように丁寧な言葉があります。
カーストにはその階層固有の名前があり、男女ともに同じ名前を付けます。男女の性別を区別するために、名前の始まりに、男性の場合は「I(イ)」、女性の場合は「Ni(二)」を付けます。
聖職者や僧侶が属する階級。ブラフマの人々は全ての祭礼を取り仕切ります。
名前に「Ida(イダ)」をつけて、男性は「Bagus(バグス)」、女性は「Ayu(アユ)」「Dayu(ダユ)」がつきます。
王族や将軍が属する階級。昔バリ島の各地を治めていた王家で、「Anak Agung(アナアグン)」と「Tjokorda(チョコルダ)」が付きます。
男性が、Gede、女性はIstri
また、カサトリアの人々の多くはこのようなミドルネームを持ちます。
地方の貴族や商人が属する階級。各地方を治めた貴族の血筋で、「Dewa(デワ)」と「Gusti(グスティ)」がつきます。
90%以上の人々が属するもっとも一般的な階級です。名前は生まれた順番によって1子から4子まで決められ、5子が生まれた場合は第1子に戻ります。
男性は「I(イ)」、女性は「Ni(ニ)」を付けます。
最初に生まれた子供がWayanかPutuになりますので、バリ島内には、ワヤンさんがたくさんいます。
バリ人の名前を見れば、どのカーストの人なのかわかります。
バリ人の名前はカースト制度と深く結びついていますが、インドのように、身分によって仕事が決められたり、違うカースト間で結婚できないなどの厳しい縛りはありません。カーストの名残はありますが、薄れてきているのが現状です。各カーストの格差がなくなり、徐々に残すべき伝統ではないという風潮になっているようです。