国際航空運送協会(IATA)空港コードは、空港に付けられる3文字のコードです。例えば、羽田はHND、成田はNRT、タイのバンコクはBKK、マレーシアのクアラルンプールはKUL、シンガポールはSIN。
しかし、ジャカルタはなぜかCGKです。JKTの方が覚えやすいのになぜCGKとなってしまったのでしょうか。謎に迫りたいと思います。
昔、ジャカルタの元空港はケマヨラン空港でした。1940年から1985年まで存在しました。当時ジャカルタの主要空港として運用されていましたので、ケマヨランの空港コードがまさにJKTでした。
1960年代には、国際線の大半がハリム・ペルダナクスマ空港(HLP)に移動されたため、ケマヨラン空港は主に国内線で利用されました。
ジャカルタの発展とともに、航空需要の増加とケマヨラン空港(JKT)とハリム空港(HLP)が近すぎるとして、ジャカルタの中心から西に約30 kmの別の場所に大規模な空港を建設しました。それが、スカルノハッタ空港(CGK )ということになります。スカルノハッタ空港開港にともない、1985年3月31日にケマヨラン国際空港は閉鎖となりました。
現在のケマヨラン空港跡地は、国際展示場や住宅地として再開発され、空港の面影は残っていません。JKT空港コードも廃止となり、現在も使われていません。
スカルノハッタ国際空港はインドネシアの初代大統領のスカルノ氏と、初代副大統領のモハメドハッタ氏の名前に由来しています。空港コードCGKの由来は、実は空港近くの地名チェンカレン(Cengkareng)からきています。
実際のスカルノハッタ空港の場所はバンテン州タンゲラン(Tangerang)なので、空港コードは、TNGでもよさそうです。しかし、TNGはモロッコのタンジェにある、イブン・バットゥータ国際空港で使われてまっています。タンジェの英文はTangierなので、TNGですね。
なぜ、タンゲランにある空港なのに隣のチェンカレンの名前の由来としたのかなんとも奇妙です。
実は、スカルノハッタ空港を建設した当初は、チェンカレン地域にあったため、IATAから3文字コードCGKを受け取りまりました。
ところが、実際建設されたのが、タンゲラン地域であり、チェンカレンの名前はふさわしくないという事で、CGKコードの変更をIATAに要求しましたが、CGKはすでに国際線コードに含まれてしまっており、一度受け取ったコードは変更できないことが判明し、現在もチェンカランのCGKのコードが使われているそうです。
なんとも、インドネシアらしいお粗末な結果でCGKだけ残ってしまいましたが、今でも地元の住民は、スカルノハッタ空港のことをチェンカラン空港と呼ぶ人もおり、ほほえましくも思えます。
ジャカルタに行く時、スーツケースの荷物につけられたタグのCGKを見て何の略だろうと、不思議に思った人も少なくないと思いますので、チェンカランの地名から来たのだとウンチクを語ってみてください。