インドネシアはイスラム教徒が多数を占める国ですが、クリスマスは国民の祝日として広く認められています。インドネシア語ではクリスマスのことを「Hari Natal」と呼び、キリスト教徒の人口は全体の約1割に過ぎませんが、インドネシアの人々は宗教的な多様性を尊重し、異なる文化の祝日も共に祝います。2023年のクリスマスは、12月25日の祝日に加えて、翌26日も休日になっており、特に今年は4連休となります。
インドネシアのショッピングモールやスーパーでは、クリスマスの時期になると華やかな装飾が施されます。これらの場所では、巨大なクリスマスツリー、きらびやかなライト、色とりどりのオーナメントが設置され、訪れる人々を魅了しています。クリスマスツリーはショッピングモールごとに異なっており、その装飾を見ることも楽しみの一つです。ショッピングモールの中ではクリスマスソングが流れ、お買い物をする際には不思議な感じがします。日本でもよく見る光景ですが、クリスマスツリーの大きさや装飾の多さから、インドネシアは日本よりも華やかで豪華な印象を受けます。インドネシアの人々は、これらの装飾の前で写真を撮り、SNSで共有することを楽しんでいます。
インドネシアのクリスマスは、ラマダンと同様に、大きな商業的な機会となっています。クリスマスになると、世界中の多くの国や町で消費合戦が繰り広げられますが、インドネシアもその例外ではありません。インドネシアは世界最大のイスラム大国であり、クリスチャンは人口の5%ほどですが、クリスマスはラマダン(イスラム断食月)と並ぶ一大消費シーズンです。高まる国民の消費性向に合わせて、企業側もセールを盛んに行い、インドネシアでも日本と同様にクリスマス商戦が繰り広げられています。店舗ではクリスマスにちなんだ商品が豊富に揃えられ、セールやプロモーションが行われます。多くのムスリムはクリスマスを一つの文化的イベントとして受け入れ、楽しんでいます。
インドネシアでは、クリスマスは複雑な意味を持つ時期です。過去にはクリスマスの時期に教会が攻撃されるなどの事件も発生しています。これらはインドネシアの圧倒的多数を占めるイスラム教徒の一部急進派によるキリスト教徒への「嫌がらせ」とされています。
インドネシア・ウラマー協会は、他宗教への尊重を呼びかけると同時に、イスラム教徒が他宗教の行事に過度に参加することを避けるよう勧告しています。一部のイスラム教徒の中には、クリスマスの祝賀に批判的な声もあり、宗教的な緊張が生じることもあります。キリスト教徒にとっては「周囲のイスラム教徒に配慮して静かに祝う」日になりそうです。「多様性を認める寛容」でキリスト教徒が静かに迎えられるクリスマスとなることを祈ります。
インドネシアでのクリスマスは、「多様性を認める寛容」の象徴です。キリスト教徒はイスラム教徒の感情を尊重しながら、控えめに祝うことが多いですが、クリスマスの祝日は、宗教的な多様性と共生の象徴として国全体で認められています。このように、インドネシアのクリスマスは、異なる文化や宗教が共存する豊かな社会の一面を示しています。