チョト・マカッサル(Coto Makassar)は、南スラウェシ州の伝統的なスープとしてマカッサルに着いたら食べたいもののひとつです。一度食べたら忘れることができないマカッサルそんなチョトマカッサルに魅了された味をご紹介します。
チョトマカッサルは、一口サイズにカットされた牛肉と牛のモツ肉を40種のスパイスと煮込んだ煮込みスープです。日本人だとモツ煮込みのイメージに近いのですが、牛肉を長時間煮込んだ茶色いスープの色を見るとビーフシチューのような感じもします。
一般的なインドネシアのスープは黄色かかった透明なものが一般的ですが、チョトマカッサルは茶色に染まった濃い肉汁が食欲をそそります。ネギやフライドオニオンを乗せてから食べます。
スープは薄味になっているので、自分で味が調整できるように塩が置いてあります。好みのサンバルやジェルックをかけながら、ケトゥパットと呼ばれるココナツご飯のおにぎりと一緒に食べるのがスタンダードな食べ方です。
チョトマカッサルは、西暦1538年にゴワ王国が存在していた頃から存在しているそうでインドネシアで最も古い肉スープ料理となります。高価な牛サーロインなどを使用していたためゴワ王国に特別なゲストを迎える際や伝統的な儀式の際にチョトマカッサルが振る舞われていました。王室、貴族、王室のゲストのみが食べられる特別な料理でした。16世紀に入ってチリソースの中国料理の影響を受けて味が変化し、スープ肉にモツなどを加えて庶民へ広がっていった長い歴史のあるスープです。
チョトマカッサルの味が忘れれないの理由として、40種類のスパイスの味が複雑に混ぜ合わさっているからとなります。ピーナッツ、キャンドルナッツ、クローブ、ナツメグ、フォエリ、細かく挽いたレモングラス、ガランガル、コショウ、エシャロット、ニンニク、クミン、赤コリアンダー、白コリアンダー、ショウガ、ラオス、カフィアライムの葉、月桂樹の葉、ターメリックの葉、ねぎ、セロリの葉、ニラ、赤大根、青唐辛子、タラ糖、タマリンド、シナモンからなる 40 種類のローカルスパイスを混合させます。肉を柔らかくするため若いパパイヤ、モツの臭みを取り除くためにライムを使用します。スパイスを贅沢に使用できるのは、マカッサルがかつて香辛料貿易で繁栄したからとなります。香辛料の宝庫であるマカッサルが生んだ独自性がこのスープの特徴となります。
2015年に初めてマカッサルに来た時初めての食事がチョトマカッサルでした。マカッサル市内を散策していると、各地でチョトマカッサルのお店をたくさん見つけることができます。マカッサルに初めて訪問するお客さんと一緒に行くことが多くなりましたが、その理由としてマカッサルの印象をスープの味で舌の覚えてもらうと、ほとんどの方がチョトを食べた後にマカッサルが好きになってしまうという魅惑のスープだからです。この味を求めてインドネシア各地から多くの方がマカッサルに来るのもうなずけます。マカッサルを代表するスープになったチョトマカッサルですが、チョト屋さんは、いつもたくさんのお客で賑わっています。多くのチョト屋さんは朝から夜まで営業していますので、いつでも食べることができます。不思議な味の魅力に取り憑かれるチョトマカッサルを食べにマカッサルに来てみてはいかがでしょうか。