日本人の私たちにとって犬と猫は同じ動物の範疇で、かわいいペットとして飼っているひとも多いです。
世の中には犬派と猫派があって、ペットとしてどちらが自分の好みかという感覚だと思います。
一方インドネシアでは犬はあまり歓迎されない動物のようです。そんなインドネシアの犬猫事情を解説します。
イスラム教では、犬は不浄な動物として忌み嫌われる動物です。特に犬の唾液が不浄とされているため、犬にムスリム達が舐められた時には大変な事が起きます。犬がなめた皿は7回洗わないと駄目、などと良く言われます。
犬にとっては、舐めることは大切な感情表現なので、舐めるなということは難しいので、イスラム教を信じるムスリム達は、自然と犬を遠ざけるようになります。
インドネシアは、世界最大のイスラム国家で、人口の9割弱はムスリムのため、ジャワ島では野良犬を見かけることは非常に少ないのです。
インドネシアでは、犬は邪悪な悪魔を連れてくるため忌み嫌われると現地の人たちに教わりました。実際に現地のインドネシア人はこのように信じています。
現地の人は、びっくりするほど犬を怖がり、子犬でさえ近寄ろうとしません。
イスラム教的には、豚肉を食べたら危ない等、当時の衛生環境や気候と調理環境などにより病気になりやすかったであろうものは全て不浄なものとされていました。
犬については、昔から狂犬病という、今でも怖い病気をもっており、昔から最も致死率が高い病気として恐れられていました。
したがって、不浄な犬はイスラム教では忌み嫌われる動物となったので、ペットとして飼う人も少ないということになります。
最近は、ジャカルタでは外国人住居者が増え、ライフスタイルも少しずつ変化していることでペットに対する考え方が多様化してきました。富裕層、中間層の増大により、イスラム教の人でもシェパード、ハスキー等地位の象徴として大型犬、中型犬を飼う人もいます。華人では、犬は番犬として一般的に飼われています。
犬の散歩は、メイドなり、運転手なりがしているのを街中でよく見かけますが、家人が散歩をする姿はめったに見ません。ですので、インドネシアで犬が全くいないわけではありません。
また、バリ島のようなヒンドゥ教の地域では、飼い犬や野良犬も沢山います。白い毛並や人間に忠実な性格が特徴のキンタマーニ犬と呼ばれる原産種がいるほどです。
地域によってペットに対する価値観は変わります。
インドネシア人は、超がつくほど猫が大好きです。家で飼っている猫も多いですし、野良猫はどこにでもいます。猫がたくさん出入りしているお店は美味しいと言われ、決して猫を追い払いません。お客も猫が好きなので、食事を分けてあげるため、インドネシアの猫はまるまる太っています。
イスラム教の預言者ムハンマドは、猫が大好きで、敬愛される動物といわれています。ムハンマドは猫の飲んだ水で沐浴をしたとか、猫の食べた後の食器で食事をしたなど逸話も残っています。さらに猫をいじめたり、殺すことを禁じたと言われています。
一般的に猫は清潔であるという印象をイスラム教の人たちは持っています。猫は周りを見張ってくれていて、大事な米を食い荒らすネズミを追いかけてくれると、昔から大事にされていました。
イスラム教から由来する好き嫌いですが、インドネシアでの犬と猫に関する感情もここまで極端であると、驚きます。最近はだいぶ変化してきましたが、それでも猫好き、犬嫌いはずっと変わらないのでしょうね。