世界銀行は7月1日、インドネシアを下位中所得国から上位中所得国に引き上げました。世界銀行では、1人当たり国民総所得(GNI)を基準として4,046ドルから1万2,535ドルまでの国を上位中所得国としています。2019年に、インドネシアの1人当たり国民総所得(GNI)は4,050ドルとなりました。
周辺国では、マレーシア(1万1,200ドル)、タイ(7,260ドル)が上位中所得国、フィリピン(3,850ドル)、ベトナム(2,540ドル)が下位中所得国に位置付けられています。
今後インドネシアの所得が増えてくると、新たなサービスや商品が販売できる可能性が高くなります。そのようなインドネシアマーケットを狙うにはアーリーアダプターが重要な役割を果たします。
マーケティング理論のひとつとして、新たなサービスや商品を普及するにあたり重要なのは、イノベーターやアーリーアダプターをいかに惹きつけるかである、という考え方があります。流行に敏感で影響力を持つ彼らをファンにすることで、潜在的なマジョリティ層の獲得につながるからです。
スタンフォード大学の社会学者、エベレット・M・ロジャース教授によって提唱されたもの。イノベーション普及に関する理論です。
この理論では、新しいサービスや商品に対する市場の反応を5つに分類し、各層を以下のように定義しています。
イノベーターとは、サービス導入期に発生する、市場の2.5%を占める層になります。 イノベーターは好奇心が強く、目新しさや最先端の技術などを購買決定の要素にします。 新しい価値を感じると、市場にまだ普及していない商品やサービスにコストが高くても支持してもらえます。誰よりも革新的なサービスをいち早く試してみたいという欲求が強い層です。
アーリーアダプターはサービスの導入期に発生し、市場の13.5%を占める層です。 流行に敏感で常に情報収集をしており、ビジョナリー(先見の明がある人)とも言われます。 イノベーターとの違いは、社会との価値観のずれにも敏感であるところです。サービス導入による利益も冷静に判断し、購入を決めていきます。世間や業界のトレンドに敏感なので、オピニオンリーダーやインフルエンサーになりやすい層です。
アーリーマジョリティはサービスの成長期に発生し、市場全体の34%を占める層です。 比較的慎重派と言われる一方で、消費者平均よりも早い時期にサービスを導入する特徴を持ちます。 アーリーマジョリティの多くは、オピニオンリーダーであるアーリーアダプターの影響を受けて購入を決めます。アーリーマジョリティをきちんと攻略する事が大事です。製品やサービスを大きく浸透させる架け橋のような存在で、ブリッジピープルとも言われます。
レイトマジョリティはサービスの成熟期に発生する層で、市場全体の34%を占めます。 新しいものに比較的懐疑的で、購入の意思決定には周囲の導入率が大きく関わっています。 市場のサービス採用が半数を超えたあたりから出現する層で、フォロワーズとも言われていて、レイトマジョリティを攻略するには、普及率を高めることが必要です。
ラガードはサービスの衰退期に発生する、市場全体の16%を占める層です。 最も保守的な層で、流行に関心がありません。商品やサービスが伝統化して初めて導入します。ラガードを攻略するには、その製品、サービスが定番となっていること訴求し、次のトレンドになりそうな商品よりも安心できることを訴求する必要があります。 マーケティングのターゲットには入らないことが多いです
新しいサービスや商品が普及するためには、まずイノベーター(2.5%)とアーリーアダプター(13.5%)を合わせた、市場全体の16%に受け入れられるかが重要になります。16%の消費者層を獲得できれば、急速に商品・サービスは広まるのです。
中でもアーリーアダプターは、商品やサービスの普及に深く関わります。イノベーターは技術やサービスの「新しさ」に注目しています。一方アーリーアダプターはそのサービスを利用することで得られるベネフィット(利益や恩恵)を重要視します。
またアーリーアダプターは他の消費者への影響力が高く、口コミによってアーリーマジョリティ層を消費層に巻き込むことも可能です。
商品やサービスの導入期から成長期の間、消費者層で言うとアーリーアダプターとアーリーマジョリティとの間には、大きな溝=キャズムがあります。このキャズムの概念は、マーケティングコンサルタントのジェフリー・A・ムーアによって提唱されました。
5つの層のうちのはじめの2つ、つまり市場全体の16%と、残り3つの層の84%は別物で、求められるものが異なるのです。
初期市場(16%)ではサービスの「新しさ」が求められます。革新的な技術や新しい付加価値(ベネフィット)が普及のきっかけとなります。
残りの84%の市場はサービスに「安心」を求めています。商品やサービスが革新的であればあるほど、不安が大きくなるため手にすることはないのです。一方周囲の多くが利用し始めると、そのサービスを使わないことが逆に不安になるという特徴を持ちます。
商品やサービスを市場に広めるためには、初期市場16%以外のユーザーを獲得することが重要です。しかし残りの84%の人たちは積極的にサービスを使おうとしません。この矛盾がキャズムを生じさせるのです。
革新的ではあっても、このキャズムを超えられなかったので、廃れてしまった製品やサービスは多数存在します。
アーリーアダプターはオピニオンリーダーとも呼ばれ、イノベーターよりも社会とのつながりをもち、その口コミは他の消費層へ大きな影響をもたらします。
もちろん、初期市場でありサービスや商品の信頼性よりも新規性を重んじるイノベーターやアーリーアダプターと、メイン市場であり商品の新規性よりも信頼・安定性を求めるマジョリティ層の間には、キャズムと呼ばれる大きな溝があります。
したがって、イノベーターに対してはいかに新鮮な商品であるかを伝え、アーリーアダプターには商品にアクセントを与えることで、自己承認欲求を満たすようなレビューやSNS投稿をしてもらう事によって一定の信頼を集めたうえで、マジョリティ層が持つ個別の興味関心に合わせて最大公約数的な打ち出し方をする必要があります。
昨今のインターネットによる情報化社会では、インフルエンサーの口コミが大きな意味を持ちます。
インフルエンサーとは、特定のコミュニティで影響力のある人物のこと。インフルエンサーとそのコミュニティに属する人々は、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの関係にあると言えます。
アーリーマジョリティが求めるのは、新しい商品やサービスに対する安心感です。そしてアーリーマジョリティの消費行動に多大な影響を与えるのがインフルエンサー(アーリーアダプター)です。
インフルエンサーがコミュニティ上でサービスを紹介することで、アーリーマジョリティは安心し、サービスを手に入れます。化粧品・コスメなどは、口コミを検索するのではなく、インフルエンサーのメイク動画などを見て購入する若年層が増えていると言われています。
コミュニティ内の口コミなどでサービスが浸透していくのです。
アンバサダーとは、商品やサービスの熱狂的なファンのこと。日本語では「大使」と直訳されます。インフルエンサーよりも影響力はまばらですが、サービスに対する関心が高く、積極的に宣伝に協力してくれる面があります。
またアプローチするコミュニティの規模も、インフルエンサーよりは小さくなります。しかし熱意を持ってサービスを紹介してくれるため、コミュニティに属する他の消費者に好影響を与えられます。
ひとつは、訪日経験者(リピーター)のニーズを当てていくことが考えられます。たとえば、訪日経験が10回以上ある人がもつ興味や意思を反映させるのです。あるいは、富裕層を狙うという方法もあるでしょう。
イノベーター=富裕層と捉えることは、100%正解ではありませんが、かなり高い確度がありますので、顧客に富裕層を抱える代理店へのアプローチが効果的です。
情報感度が高く、流行に敏感だといわれるアーリーアダプターを獲得したいのならば、エッジの効いたメディアへの露出や、コアなファンを持つ有名人やインフルエンサーを活用したPRが有効です。
ただし、アーリーアダプターは、自ら情報を収集し、将来性やなんらかのメリットを感じた段階で動き始める層であるため、手取り足取りの手厚い情報を提供するというよりは、やや概念的・抽象的な伝え方のほうが良いです。
その商品を消費することで自分ならどのようにその商品を消費し、表現することができるかという「モノ消費に見えるコト消費」よって自分らしさを追求しています。
そのため、他人から影響を受けて購買をしたとしても、消費結果としてオリジナリティのあるものを生み出すという思考があるため、自分の意思で購買し、自分が購買行動の意思決定を行ったと考えています。
新しい商品やサービスを世の中に普及させるためには、アーリーアダプターの存在が非常に重要となります。
アーリーアダプターにサービスを導入してもらうには、革新的というだけでなく、実用性があるかがカギとなります。