米国大統領選ですが、開票から4日後の本日、民主党ジョー・バイデン候補が当選確実になったと報道しました。とはいえ、まだまだ、選挙後のごたごたが止まらないというか、予想通り、最後にきてトランプ大統領が一部の州を提訴して郵便投票の無効を訴えるなど、今後も混乱が続きそうな雰囲気です。
分断された民主主義は、保守派とリベラル派で意見が合わず、今後もデモが起こったり、暴動が懸念されたりとこれが超大国アメリカの姿かと思うところが多く驚くのですが、この状況が2014年にインドネシアでジョコウイドド政権が誕生した時によく似ている、と感じてしまいました。
インドネシアではエリートや軍部出身の政権が続き、初の民主政権ユドヨノ大統領が誕生したのが2004年です。
民主政権を謳ったユドヨノ大統領自身も軍出身だったことを考えると、ジョコウィ大統領が初の民間出身の大統領となったわけです。この経緯が今回の米国大統領選挙に結構似ています。
ユドヨノ政権は、インドネシア初の民主政権として執政されていましたが、一方で、行き過ぎた民主主義とも言われ、特に第二期政権時代は何も進まない、という批判が出始めていました。
当時ジョコウィ氏は、中部ジャワのスラカルタ(ソロ)市長として都市計画などで頭角を現し、その後、ジャカルタ特別州知事に就任した後も、低所得者層向けの政策で実績を作り、クリーンなイメージで、インドネシアの発展を願う特に若い層からの圧倒的支持を得ており、大統領就任を熱望されていました。
実は、ユドヨノ第二次政権の何も進まない状況を踏まえると、高年齢層などは強い指導者を求める人もいて、当時はジョコ大統領と大統領の座を争ったプラボウォ氏の主張が結構、トランプ大統領と同じ部分がありました。
2014年のインドネシア大統領選は、ふたを開けると大接戦となり、結果は僅差でジョコウィ大統領が誕生したのですが、その流れが今回の米国大統領選に重なります。
更には、人物像が、柔和なバイデン氏がジョコウィ大統領に、強硬なトランプ氏がプラボウォ氏に重なります。
プラボウォ氏は国営銀行創立者を祖父とし、スハルト政権の経済ブレーンを父とするエリート家系の出身です。
(当時)スハルト大統領の次女と結婚、後に離婚。陸軍特殊部隊の隊員として東ティモールの独立派弾圧で武勲を挙げ、特殊部隊と陸軍戦略予備軍の司令官を歴任しました。プラボウォ氏は以前民主化運動活動家らに対する拉致や暗殺への関与や暴動画策の疑惑も持たれているそうです。
SNS上でジョコウィ氏を非難しネガティブキャンペーンや嘘か本当か疑わしい情報を拡散したり訴訟があったりと、今回のトランプ大統領にそっくりです。
その後2019年の大統領選でも、ジョコウィ大統領は、再度プラボウォ氏の一騎打ちの末、再選し、グリンドラ党のプラボウォ党首に対し「国防分野での協力」を要請し、国防大臣に就任しています。
国の方向性を決める大統領選挙を通じて、先進国、途上国問わず、国のリーダーを決める時の構図が結構同じであるということがよくわかりました。
今回の米国大統領選挙でバイデン氏を応援している人たちの喜ぶ姿などを報道各局が中継交えて報道するなど、日本でも大きくメディアで取り上げられています。
一方、日本の政治は、国会議員の数の論理で菅首相が誕生し、国会は開会しているのに学術会議の話ばかりで、ほとんど霞んで見えます。
日本国民は、政治に関心がなく、投票率が伸びないなど言われています。
米国大統領選挙のように、劇場型のハラハラする展開を日本でも同じ様な構図でできるとは思いませんが、国の方向性を大きく左右し生活に直結する日本の政治に、もっと関心を寄せる機会になればいいなと思います。