インドネシアでは、新型コロナ感染拡大が、人々の買い物の習慣が、従来の店舗からオンラインへの変化を加速させました。オンライン取引の急速な成長は、電子マネーから決済システムまでインドネシア人の生活に急速に根付いてきています。
現在のインドネシアのキャッシュレス化は、電子マネー、それもSuicaのようなカード式の非接触ICによるものではなく、スマホのアプリを使ったQRコード決済が主流です。
現在、電子マネーはGO-JEKのGoPay, 大手財閥リッポー系のOVO、中国のAnt Financial のDANA、国営のLinkajaが市場獲得にしのぎを削っています。
2016年の電子マネーの取引額は7.1兆ルピア(約500億円)でしたが、2020年には205兆ルピア(約1兆5000億円)あまりと5年で30倍ほどにまで取引額まで増加しました。2019年は145兆ルピアでしたので、2020年は41%増加しました。そして2021年の取引額は266兆ルピア(2兆円)に達するとインドネシア銀行は予測しています。
新型コロナウイルスの流行拡大とそれに伴う移動制限を受け、消費者の間でデジタル決済の利用が広がっているためです。
2014年にインターネットバンキングを利用しているのは5%、クレジットカードは1%にすぎませんでした。クレジットカード市場はインドネシアの経済成長と中間層の拡大に伴って2010年以降少しずつ拡大してきました。
しかし、インドネシア中央銀行によるとクレジットカードの取引額は、2020年が238.9兆ルピアでした。2019年が342.7兆ルピアでしたので、30%減少と大幅に減少しています。
ATM/デビッドカードの取引額でみると、2020年6916.9兆ルピア、2019年7474.8兆ルピアと比較して、7.5%減少に留まっていますので、クレジットカード利用者が電子マネーに移行した形が読み取れます。
日本人の故事にある「一円を笑う者は一円に泣く」の様な、どんなに小さな金額でも金銭を粗末にしてはいけないと、昔から小銭を大切に扱ってきました。日本人は貯蓄や倹約の大切さで、世界一貯蓄が多いことは周知の事実です。
一方、インドネシア人は小銭が好きではないような気がします。とにかく、貯蓄、倹約の意識が薄く感じます。お金があれば、全て使ってしまう様な感覚です。
インドネシアでは100ルピア、500ルピア、1000ルピアのコインがあります。日本では1円、5円、10円に相当します。日本では、自動販売機等で10円は使用できる機会がありますが、インドネシアでは、小銭は渋滞の交差点を曲がる際に誘導員に渡すことしか使用していない気がします。
私は、インドネシアスーパーで買い物をする際、大量のコインを消費する機会として小銭を使いますが、インドネシア人はスーパーで小銭を使用している事をほとんどみかけません。
ブルーバードタクシー等で現金で払う時も、なぜか小銭のお釣りを要求する事なく、多めに支払っておしまいのような慣習があります。
以前はお釣りを小銭ではなくキャンディーで代用するくらい小銭を使わなかった人たちなので、小銭から解放されるスマホ決済はどんなに性に合っていることだろうと改めて思うこともあります。
なにはともあれ、新しもの好きのインドネシア人にとってキャッシュレス社会へ移行することに大きな抵抗はないように思われ、今後の新たな進展にもますます目を離すことができません。