インドネシアの空港に到着すると、喫煙所の近くでは独特の心地よい香りがします。インドネシア人が好むガラムの煙草の香りです。ガラムには、香辛料にも使われるクローブが使用されています。
本日は、インドネシアのクローブとガラムの煙草についてお話します。
クローブとはフトモモ科の植物チョウジノキの花のつぼみを乾燥させた香辛料です。日本では、その形が釘に似ていることから、釘の「丁」の字を使い、「丁子(ちょうじ)」「丁香(ちょうこう)」とも呼ばれています。
クローブは英語で「Clove」ですが、フランス語で釘を意味する「Clou」が語源となっています。中国では、鶏の舌に似ていることから、「鶏舌香(けいぜっこう)」とも呼ばれていました。
ナツメグとともに、クローブの世界最大の生産国はインドネシアです。生産場所もナツメグと一緒のマルク(モルッカ)諸島地域が多いようです。
クローブのつぼみは、開花してしまうと香りが弱くなりますので、つぼみが開花前に摘まれ、乾燥させられます。
ピンク色のつぼみは、乾燥すると、茶色っぽくなります。つぼみの部分は薄い赤茶色となっているものが良質なクローブだと言います。
収穫期は1年に2回。クローブが採れる、チョウジノキは、完全に成長するまで20年ほどかかりますが、その後、長いもので100年ほど生き続けます。
クローブの香りは、バニラのような甘い香りの中に、強く、刺激的な感じがしますので、好き嫌いが分かれます。
クローブパウダーはウスターソース、トンカツソース、ケチャップ類の主要なスパイスの一つです。ミートソース、ハンバーグ、ミートボールなどのひき肉料理や、レバーペースト等に少量混ぜ込んで使うと、肉の臭み消しに効果的です。とても風味が強いので、加え過ぎると薬臭くなるので少量から加えてください。
また、ナツメグやシナモンなど、他のスパイスとブレンドして使用したり、バニラの風味を引き立てるので、バニラ風味の菓子に少量加えるのもおすすめです。
クローブの香りは、害虫が嫌う香りでもあるので、ホール状のクローブを、そのまま台所などに置いても効果があると言われています。
クローブの世界最大生産国、消費国であるインドネシアでは、クローブが混ざった「ガラム」という煙草が売られています。
「ガラム」とはインドネシアで「塩」の意味ですが、実際はフィルターに甘いシロップがついていて、甘い味がします。
ガラムは、インドネシアのグダン・ガラム(GUDANG GARAM)社が製造する煙草のブランド名です。グダン・ガラムはインドネシア語で、「塩の蔵」という意味で、東ジャワで塩の倉庫を改造し、現在のガラムを作り始めたことが名前の由縁だと言われています。
インドネシア人にとってタバコは身近な存在であり、貴重な娯楽の一つと考えられています。そのためなのか、15歳以上のインドネシア人男性の喫煙率は70%近いのです。
ガラムに火を着けて吸うとクローブがはじけてパチパチと音がします。
巻紙には、茶色い「シミ」がついています。これはクローブの成分である精油がにじみ出たものです。吸い口が甘く、火を付けるとパチパチと火花が散り、クローブの非常に特徴的な香りが漂います。
私は煙草を吸わないので、吸っている人の感想ですが、フィルターをくわえてみた感じは南国のフルーツにあるようなトロピカルな甘味を感じるそうです。
火を付けていざ吸ってみると、高タールの割には吸いやすいとのことです。
他の煙草にはまず無いクローブの不思議な喫味こそ、ガラムの存在意義であり、非常に甘く鼻につく味と香りがはっきりするようです。好き嫌いが別れますが、非常に中毒性のある煙草です。
香りに特徴あり、タールが40もあるキツイ煙草ですので、多くの喫煙者は、話のネタ作りのためにインドネシアからガラムを買って来きます。
吸っている時のパチパチという音もやみつきになるそうなので、興味があれば実際に吸ってみることを強くオススメします。この煙草にはまってしまう人も多いようです。