インドネシアの政府系航空大手のガルーダ・インドネシア航空の経営再建が遅れています。債務超過に陥っており路線の見直しや人員の大幅リストラを表明して政府の公的支援を求めていますが、政府もコロナ対策での財政悪化を受けて消極的です。このままではいつ破産してもおかしくない状態になっています。ガルーダ・インドネシア航空の運命はいかに。
ガルーダ・インドネシア航空のイルファン社長は、2020年12月期の売上高は前の期比78%減の10億ドル、連結最終損益が20億ドル(約2200億円)の赤字に陥ったと明らかにしました。
これまでの負債総額が70兆ルピア(約5400億円)に達し、債務超過状態であることも表明しました。ルファン社長は、返済の猶予を求めていますが、債権者と協議して合意できなければ自動的に経営破綻してしまうと危機感を出しています。大規模なリストラが柱の経営再建策を進めて、約60%を出資する筆頭株主のインドネシア政府から追加支援をしてもらいたい考えです。
しかし、現在の収益も改善しておらず、1か月で5,000万ドルの収入に対して、費用は1億5000万ドルと毎月1億ドルの負債が増えているそうです。
2021年5月から始めた全従業員約5700人を対象にした早期退職募集が、2割の約1100人に達したそうです。2019年にも591名のリストラを行っているため1,690名にも及びます。
現在、ガルーダ・インドネシア航空は様々な機体で運用しています。
ボーイング777-300、ボーイング737-800、ボーイング737-8マックス、エアバスA330-200、エアバスA330-300、エアバスA330-900、CRJ1000 、およびATR72-600の航空機タイプで構成されています。
コロナ禍により、機体の大きさに合わせた乗客見込めないのと、他社の航空会社よりも多くの種類の機体を運用し、高いリース料で契約していて収益が悪化していると指摘されています。
しかも運用する全142機のうち136機がリースで、自社保有はたった6機しかありません。
機材をリース会社に返却していき半減を目指していますが、多くの機体のリース料が支払われていないため、CRJや737などの効率的な小型機が運航できなくなっていて、現在のところ53機しか運航できない状態です。乗客が見込めない路線に大中型機を投入してより効率を悪くしています。
まずは大規模な人員削減などに加え、収益性の低さが指摘されてきた欧州線をはじめ一部の国際線の運行を停止し、まずは国内線運航業務への注力と機材リース費の値下げ交渉に取り組む方針を示しています。
コロナ禍による航空会社経営悪化は世界の航空会社に共通します。欧米などの代表的な航空会社が早期にコロナ対応して経営状況を回復させている中、ガルーダ・インドネシア航空の経営対応のスピードは遅く、最後は政府が面倒を見るのだろうと高を括っている感じがあります。
しかし、非効率な経営体質はすぐには改善する訳でもなく、業績回復向かうのか、はたまた経営破たんしてしまうのかしばらく注目していきたいと思います。
ガルーダ・インドネシアが経営破たんしてしまうと、安全性と定時運航に不安のある「ライオン・エア」の独壇場となってしまいます。安心できるガルーダ・インドネシア航空には踏ん張ってもらいたいところですが、インドネシアのフラッグ・キャリアの運命がそろそろ決まりそうです。