【インドネシア・スラウェシ島地震】コロナ禍で支援困難
インドネシア・スラウェシ島西部で1月15日午前2時28分(日本時間同3時28分)ごろ、マグニチュード(M)6・2の地震がありました。震源は西スラウェシ州マムジュの南36・3キロ、震源の深さは18・4キロ。地震は5~7秒続いたといいます。マムジュ周辺では14日午後にもM5・9の地震が起きていました。
被害は震源地のある西スラウェシ州マジェネ県で特に大きく、少なくとも34人が死亡、637人が負傷した。約300の家屋が倒壊、およそ1万5000人が避難を余儀なくされているということです。州都マムジュでは州庁舎やスーパーマーケット、ホテルが損壊したほか、コロナ患者がいたとされる病院も下層階が押しつぶされ、がれきの山と化したとの情報です。
倒壊した建物の下には、依然として多くの人が閉じ込められているとみられますが、重機の不足などから救助活動は難航しています。さらにマジェネ県では、周辺の複数の道路が寸断され、ほかの地域から救助隊が入るのも難しくなっているということです。
現地では余震が続いていて、気象当局は15日未明の地震よりも、さらに大きな余震が起きるおそれもあるとして、警戒を呼びかけています。
スラウェシ島中部から北部にかけては地震が多い
スラウェシ島では過去に何度も大きな地震がおきています。2018年9月、今回の震源地から北北東に約250キロ離れた中スラウェシ州パルでM7.5の地震が発生して津波と大規模な地滑りが起き、計4300人超の死者・行方不明者が出たのが記憶に新しいところです。今回の震源近くでも数年に1回は地震が起きていますので、プレートの活動が依然活発であることがわかります。
耐震にはなっていない
震源近くの州都マムジュとマジェネ県では、メルカリ震度でⅥでしたので、日本の震度に置き換えると震度5弱相当の地震でした。
日本では震度5弱では、建物被害はそれほど起きませんが、インドネシアは日本と同じ地震が多い国として知られていますが、建物の耐震構造等は脆弱です。
コンクリート柱の中の鉄筋も少なく、ひとたび大きな地震が起きると建物崩壊等で大きな被害が出ます。特に古い建物では、柱がなく、壁で建物を支えているような作りも多く見られます。この地震による津波はなかったのが不幸中の幸いでした。
インドネシアで災害・事故が多い
大雨による洪水や地すべり、火山の噴火、先日の飛行機墜落、そして今回の地震と、インドネシアでの災害と事故が多いように感じます。しかも、コロナ禍の中で、避難所では大勢は密となりクラスターの2次被害が起こりかねない状況です。また衛生環境悪化により感染者が増える恐れもあります。
救援側も簡単には救援要請ができず、救助や復旧にはかなりの時間がかかっていまいます。世界中で蔓延しているコロナ禍では、海外からの支援もなかなか受け入れが難しいので、ひとたび大きな災害や事故が起きるたびに、今回のコロナの影響が大きいと改めて考えさせられました。
日本も他人事ではない
日本でもコロナ急拡大で、政府は緊急事態宣言を発して外出自粛を促していますが、こんな時に地震などの天災が起きてしまったら、どうなってしまうのか想像もつきません。インドネシア同様に他国からの救援も入れないだろうし、日本にとって決して他人事ではすみません。コロナ禍で避難所生活もおくれないだろうし、医療崩壊も叫ばれるなか、このタイミングで被害にあってと思うと今の対策では非常に不安があります。
南スラウェシ州マカッサルは無事
TVやインターネットなどでこのニュースが出てから、実に沢山の方々よりご心配のお声をいただきました。ありがとうございます。マカッサル駐在員ならびに現地スタッフは幸い無事ですが、西スラウェシでは多くの被害があちこちで出ているのは報道の通りです。
インドネシアでは2018年のスラウェシ島パルの地震が記憶に新しいですが、日本でも地震や台風が多く、自然の脅威を感じます。また、コロナ禍で皆さんが疲弊している中でのさらに地震の被害となり、追い打ちをかけるような状態となり心が痛みます。
しかも、自然災害の影響をダイレクトに受ける一次産業(農業や水産業など)従事者の割合が多いインドネシアでは、被害の影響も想像以上に長引くと予想されます。
大事な仲間や漁民達が大勢いるスラウェシ島ですので皆さんが1日も早く安心した生活を取り戻す事が出来るよう祈るばかりです。