インドネシアが上位中所得国に見事に返り咲いたことは、その経済成長の顕著な進展を示しています。この記事では、インドネシアの経済の現状をお伝えします。
2022年にインドネシアの一人当たり国民総所得(GNI)が4,580ドルに達し、3年ぶりに世界銀行の定義する上位中所得国の基準(1人当たりGNIが4,466ドルから13,845ドル)を上回りました。これにより、近隣諸国のマレーシアやタイと肩を並べる形で、上位中所得国グループに位置付けられました。
過去数年間を振り返ると、以下のようなGNIの変動が見られます。
2019年:1人当たりGNIが4,050ドル
2020年:新型コロナウイルスの影響で3,780ドルへ減少
2021年:4,194ドルに回復
2022年:前年比9.8%増の4,580ドルに上昇
これらの数値は、インドネシアがコロナ禍からの影響を受けながらも、迅速に経済回復を遂げ、さらにその後の成長を加速させていることを示しています。
しかし、インドネシアの経済成長には「中所得国の罠」という大きな障害が存在します。国が一定の所得水準に達した後、成長が鈍化し、高所得国への移行が困難になるこの現象は、技術革新の停滞、資源枯渇、貧富の格差拡大、政治的不安定など多くの原因によって引き起こされます。
2045年、建国100周年を迎えるインドネシアが高所得国になるためには、多くの課題に対処する必要があります。効率的なインフラ開発、生産性の高い人材育成、そして人口ボーナス期の最大限の活用が求められます。これにより、生産性や競争力、人材の質を高め、経済成長を持続させることが必須です。
ジャカルタなどの大都市では経済力の高さが感じられますが、マカッサルを含むジャワ島以外の地方では、経済的な遅れや地方格差が依然として顕著です。地方活性化はインドネシアが直面する重要な課題の一つであり、全国的な均衡ある発展が求められています。
インドネシアの経済成長は著しく、上位中所得国への復帰はその象徴的な出来事になりました。しかし、持続可能な発展と高所得国への移行には、技術革新、教育、インフラ、地方活性化など、さまざまな分野での取り組みが不可欠です。これからもインドネシアの経済発展に注目したいと思います。