インドネシアのクリスマス事情!イスラム教との関係と変化するお祝いスタイル

Indonesia

イスラム教が国教ではないものの、人口の約8割以上がイスラム教徒といわれる多民族国家のインドネシアのクリスマス事情についてご紹介します。イスラム教徒とクリスマスの関係や、最近日本のようにクリスマスをイベントとして楽しむ雰囲気が広がっている様子、そして常夏なのにサンタクロースや雪のデコレーションがあふれる不思議な光景についてもお伝えします。

インドネシアの宗教事情とクリスマス

インドネシアでは、国としてイスラム教が多数派ではあるものの、クリスマス(ナタル:Natal)も国民の祝日として認められています。これは、多民族・多宗教社会であるインドネシアが「Bhinneka Tunggal Ika(多様性の中の統一)」を国是としているからこそと言えます。キリスト教徒がメインで祝うイベントですが、最近では都市部を中心に、年末イベントや商業的な行事として定着し始めています。

一方で、イスラム教徒が多く住む地域では、クリスマス当日だからといって町全体が大きく盛り上がるわけではありません。しかし近年、首都ジャカルタをはじめ、商業施設や観光地が集まる都市部では、クリスマスデコレーションが華やかに飾られたり、クリスマスセールを行ったりするところが増えてきました。これは、宗教行事というより、年末のイベントとして認識されつつある側面もあるようです。

イスラム教が多数派とはいえ、インドネシアは「多様性の中の統一」(Bhinneka Tunggal Ika)を掲げる国。たとえば、宗教行事には各宗教の信徒が協力して準備を手伝う地域やコミュニティもあります。クリスマスシーズンに教会で行われる催しや、クリスマスツリーの飾り付けにイスラム教徒がボランティアとして手伝う、といった微笑ましいニュースが話題になることも。実際、インドネシアの教会ではクリスマス礼拝を警備するため、地元のイスラム教徒たちが警備に協力するケースも報じられています。

ただし、近年は一部宗教指導者から「イスラム教徒がクリスマスを祝うのは好ましくない」という見解が示されることもあり、宗教的な考え方次第では慎重な態度をとる人もいます。それでも、全体的には異なる宗教を尊重し合おうとする流れが根強いため、クリスマスという機会を境にコミュニティの絆を確かめ合う習慣が根付いている印象があります。

常夏だけど雪が舞う?インドネシアの最新クリスマス風景

都市部のショッピングモールやホテルでは、年末が近づくとクリスマスツリーやきらびやかなイルミネーションが飾られ、クリスマスソングが流れるところもあります。その中には、日本と同じように「雪」をイメージしたデコレーションもありますが、気温30度超えの常夏気候にサンタクロースや雪景色のモチーフは正直やや不思議な光景が広がります。それでも、ロマンチックなムードやフォトスポットとしては大人気。休日ともなると多くのカップルやファミリーがクリスマスツリーの前で写真を撮ってSNSに投稿しています。

クリスマスと同時に年末セールシーズンに突入するため、「セール目当て」でショッピングモールを訪れる人も増加。プロモーションにはサンタ風のコスチュームや“雪”を模した泡や発泡スチロールのディスプレイなどが使われることが多く、常夏気候と雪のイメージがミスマッチのまま融合しています。「不思議な組み合わせだけれどかわいいからOK」という感覚で、多くの人が写真や動画を撮ってSNSにシェアして楽しんでいるようです。

インドネシアはSNS利用率が非常に高い国。インスタグラムやTikTokなどでは、「クリスマスらしい写真や動画」をアップするためにモールやホテルのデコレーションを巡る若者が多いです。宗教的な理由よりも、「クリスマス=SNS映えするイベント」という認識が高まっているのも、現代的なクリスマス事情の一面です。

クリスマスパーティーやギフト交換

インドネシアのキリスト教徒にとっては、やはり教会のミサや礼拝がクリスマスの大切な行事となります。家族と集まって食卓を囲んだり、特別な料理を用意したりするのは日本でも同じですね。主にキリスト教系の学校や企業では、クリスマス前後にパーティーやプレゼント交換会を催すところが増えています。宗教行事というよりは友人や同僚と年末に楽しく集うイベントとして、教会に所属していない人でも気軽に参加できる雰囲気になってきました。

インドネシアの場合、地域によっては家族総出で伝統的なダンスや合唱を披露することもあり、町全体が少人数でのパーティーというより、大勢でにぎやかにお祝いするケースが多いようです。

クリスマスを通じて感じる多様性

インドネシアのクリスマスを見ていると、宗教の違いを尊重しながらも、一緒にお祝いの雰囲気を楽しもうという多文化的な側面を強く感じます。大多数がイスラム教徒の国ですが、年末の時期には多くの商業施設や観光地でクリスマスをテーマにしたイベントを実施し、イスラム教徒の若者も友人と一緒に写真を撮ったりショッピングを楽しんだりと、まるで日本のように“クリスマス=ひとつのイベント”として過ごす姿が見受けられます。

もちろん、宗教的な部分では慎重な意見もあるため、全員が大々的に参加するわけではありませんが、それでも街中が華やいだ雰囲気になり、国民全体が年末のイベントとして楽しむ流れは少しずつ広がっています。インドネシアでクリスマスを体験すると、この国ならではの多様性の中で、共存や協力が自然と根付いていると実感することでしょう。

まとめ

インドネシアはイスラム教徒が多数派ながら、近年都市部のショッピングモールやSNSの広がりによって、日本のようにクリスマスイベントを気軽に楽しむ文化が定着しつつあります。クリスマスは宗教行事という意識も残る一方で、年末を盛り上げるイベントとしても機能しています。もし年末にインドネシアを訪れる機会があれば、観光やショッピングとあわせて現地のクリスマスの雰囲気を肌で感じてみてはいかがでしょうか。

 

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