ホーチミンの夜。少し疲れてはいるけれど、「まだホテルに帰りたくない」という気持ちになることってありませんか? まさにそんな状態で大通りを歩いていた私が目にしたのは、天井の開いた二階建て観光バスでした。「まさに旅の醍醐味はこういう偶然との出会いだよね」と思い、スタッフに声をかけると予約なしでも乗れるとのこと。これは乗らない手はない! と即決し、数分後には2階席へと駆け上がっていました。
ホーチミン市内を駆け巡る二階建て観光バスは、市内の主要観光スポット20か所を巡るルートが設定されています。出発点はグエンフエ通りで、ベンタイン市場、ドゥックバー教会、ブイビエン通りなどを回るコース。私は約1時間で市内を一周するプランを選択し、料金は15万VND(約900円)。
ほかにも4時間パック(約2,100円)や24時間パック(約3,000円)があり、乗り降り自由のチケットも用意されています。予約不要で、バス停やバスそのものにいるスタッフに声をかければOKという手軽さが魅力です。
日中の利用: 日差しが強いので、帽子や日焼け止めは必須。ノンラー(ベトナム伝統の葉笠)の貸し出しがある場合も。
夜間の利用: 比較的涼しい時間帯ですが、風を受けると肌寒くなることもあるので、薄手の上着があると快適です。
天井がない開放感
二階建てバス最大の魅力は、何と言っても天井が開放されている点。走り出すと夜風が心地よく、頭上には夜空が広がり、ビルの合間を縫うように進むスリルも満点です。街灯やネオンが作り出す光の海の中を走り抜けるときの疾走感は、普通の観光バスでは味わえません。
高い視点で見る街の変化
昼間はバイクの大群と熱気で知られるホーチミンも、夜になると少し落ち着き、高層ビルのライトアップや街路樹の照明が際立ちます。バスの2階からは、1区の中心にある高層ビルの工事現場や、対岸の開発エリアが立体的に見えてきて、「今まさに街が変貌し続けている」というのを実感できます。タワマンが並ぶ地域や開発途中のエリアを走ると、ホーチミン市が進化の真っ最中にあることが肌で感じられます。
夜ルートではサイゴン川に架かる橋を渡り、川面に映る高層ビルのイルミネーションや街のライトアップを一望できます。昼間の騒々しさが嘘のように静寂をまとった川沿いは、涼しい風と幻想的な夜景のコンビネーションが魅力。
高い視点&バスのスピードが組み合わさると、橋の上から見下ろす街並みの印象がガラリと変わり、「やっぱり旅っていいな…」と思わずしみじみしてしまいました。
中心部を抜けると、あれほど多かったバイクの波も散っていき、車窓から見る風景が一気に落ち着きます。昼間のホーチミンは「バイクの大洪水」というイメージでしたが、二階建てバスに乗って対岸へ向かうと開発中のエリアやゆったりした通りが広がり、街の多面性を存分に感じられます。
「こんなにホーチミンって表情が豊かなんだ」と、新たな一面に触れられたのは大きな発見でした。
「ちょっと夜の街を見て回りたいけれど、あまり長時間はキツい」という人には、45分〜1時間ほどで夜景を満喫できるこのコースが絶妙。飽きる前にホテルや繁華街に戻れるので、疲れすぎずに済むのが助かります。
私は川沿いの夜景でゆっくりとクールダウンし、最後にブイビエン通り近くで降りるプランを選択。ナイトライフを楽しみたい人は、そこからバーやクラブへ向かうのもおすすめです。
歩き疲れた体を休めつつ、新しい視点で街を楽しめるのが二階建てバスの魅力。バス上で感じる高揚感と夜景のロマンチックさは、旅の締めくくりにぴったりです。ほかの都市でも見かけたらぜひ乗ってみたい、と心から思えるほど、「目線が変わるだけでこれほど世界が違うのか!」と驚かされました。
ホーチミンの最終夜に「もう少し楽しみたい」「気軽に夜景を眺めたい」と考えている人には、二階建てバスがうってつけ。短い乗車時間でも満足度は高く、疲れすぎずに夜の街を堪能できます。
1区から一歩離れれば、タワマンやサイゴン川沿いの静かな景色など、街が大きく変化している様子をダイナミックに感じられるはずです。「旅行の最終日どうしよう…」と悩んだら、ぜひこのオープントップバスを候補に入れてみてください。夜風を感じながら見るホーチミンの街は、「やっぱり旅は最高だな」と思わせてくれること間違いなしです。