インドネシアでは、コロナ感染拡大を防止するため、レバラン中の帰省を禁止する措置が行われました。レバランが終了し帰省禁止措置が開けた18日以降、実際人々はどのような行動したのでしょうか。帰省禁止令の効果についてお話します。
帰省禁止期間の首都ジャカルタ郊外のスカルノ・ハッタ国際空港を利用した旅客数は、1日平均5,000人で、禁止前の平均4万~9万人から大幅に減少したと発表しました。
航空機の発着回数は禁止前と比較して77%減少したとのことです。
レバラン大祭とそれに伴う休暇を無事終えて、帰省先の地方都市からのUターンが急増しました。
インドネシア運輸省は、イスラム教断食明け大祭(レバラン)前後の帰省禁止措置が明けた5月18日に、公共交通機関を利用した乗客数が27万9,000人であったと発表しました。前日17日は9万5,000人から2.9倍に急増した結果となります。航空旅客が8倍に増加したほか、鉄道は5.5倍、バスなど陸路を利用した乗客は2.7倍、フェリーは1.5倍となりました。
コロナ禍であることもあり、首都ジャカルタからの帰省を厳しく制限したはずでしたが、帰省禁止措置にも関わらず5月6日から15日までに約260万人が首都圏から帰省して、約173万台の車両が高速道路や他の幹線道路経由で故郷へ帰ったそうです。そして同時期に約150万台の車両を含めた約220万人がジャカルタに戻ってきたそうです。
レバランが終われば、帰省から戻る人々が大挙してジャカルタに押し寄せるのはコロナ禍でなくても、毎年の恒例です。帰省禁止は空路や鉄路、海路では搭乗券や切符が必要ですので、一定の効果はあったようですが、大量の車やバイクの「波」はいくら警察が検問で引き返しを求めても「焼け石に水」です。抜け道・う回路を利用して、多くの人が帰省したようです。
帰省禁止となっても、結局は人の大きな流れを押しとどめるには「無力」であったようです。
インドネシアのジャカルタ特別州警察は24日、帰省した人のUターンに対する検問の実施期間を5月31日まで延長する方針を明らかにしました。引き続き、移動する際には、出発前24時間以内の新型コロナの陰性証明取得が義務付けられるそうです。ジャカルタと東部を結ぶチカンペック高速道路や主要経路で抜き打ちのコロナ感染検査も実施されるようです。
人の大きな流れは、ジャカルタのコロナ感染状況にも深刻な影響を与えることが指摘されています。医療関係機関に対し一般病床や集中治療室の拡充、酸素ボンベ確保など感染者拡大に備えるようです。