インドネシアは、気温は一年を通じてあまり変わらず、30℃前後あります。季節は雨季と乾季があり、そんな気候のインドネシアの住居には、快適に暮らす工夫が各所に見られます。
本日は、インドネシアの住居についてお話します。
インドネシアは、赤道に沿って島々が点在しているため、太陽が近いです。その分直射日光が強く、適度に陰を作ることが重要です。雨季には、大量の雨が降りますので、室内に湿気がこもらないように風の通りを良くすることが重視されています。
日本のように、住居は南向きで、西日のあたる場所に部屋があるなどは、インドネシアでは好まれません。
インドネシアの伝統的な家の多くは、高床式住居です。雨が多い気候では地表に湿気がたまるので、床が地面から離れていることで湿気が少なく、風が床下空間を通るので涼しくなります。床を高くすると、カビの発生や害虫が増えるのを抑えることができます。
床下の地上部分は日陰になっているので、涼しく過ごすことができます。床下部分を利用して、農作業や織物などをする仕事をする場所や、家畜を飼う場所として活用されています。
雨季には、激しいスコールで川が氾濫したりして水害も度々起きるので、柱の上にある住宅は、家族や家財を守る工夫にもなります。
室内は、大広間を中心には伸び伸び自由な空間で、天井も高くなっています。
屋根には風が抜けるための窓が数か所ついていて、家の中に入った風の抜け道になっています。
地面から離れた室内は、床下に日陰を作り、そこを風が通ることで温度が下がります。室内も風が抜ける高い天井と間仕切りのない空間で、涼しさを増す事が可能です。
インドネシアの全世帯の半数以上である約54%の世帯がタイル張りの床の家に住んでいます。インドネシア政府は「最低生活水準」を満たす住宅の判断基準の一つとして住宅の床がタイル張りとなっているか否かを掲げています。
タイルの床は、いつもひんやりしていて気持ち良いです。掃除は水拭きモップでゴシゴシしていますので、清潔感もあります。
日本ではタイル床は最近あまり見ていないような気がしますが、利便性もありそうです。
農村部ではタイルと同じ位の割合でセメントやレンガの床の家が存在しています。
インドネシアの中央にあるスラウェシ島のトラジャ族の家は「トンコナン」と呼ばれる、舟の形をした伝統的な家があります。
高床式で、大きな鞍形切妻屋根が特徴で、トラジャ族が以前海洋民族であったことの名残と言われており、遠くから見るとまるで「空中に浮かんだ舟」のように見えます。
前後に突き出た屋根部分が、日陰を作る役割もしています。
トンコナンは、居住用と穀物貯蔵庫用の2つの種類がありますが、家の中は狭く、窓がないというデメリットもあり、実際に住む人は徐々に減ってきているとのことです。
インドネシアの暑さと湿度から快適な暮らしを求めて建築された代表的な住宅建築の一つとして、歴史を今に伝えています。