インドネシアは世界第4位の豊富な人口、さまざまな天然資源、広大な国土・経済水域を有し、成長著しい国です。
しかし大きな魅力を秘める一方で、多くの日系企業や経営者を悩ませているのが「現地人材」の問題です。
優秀な現地人材を採用し、長期にわたって一緒に仕事をして戦力化するために、必要だと思うコツを5つ紹介します。
ここ数年、駐在員など外国人就労者に対するビザ発給が厳格化されていることから、現地人材の育成・管理職登用・権限移譲は、待ったなしの段階まで来ています。しかし、明確な対策が見いだせず、苦戦している日系企業が多数見受けられる状態です。
インドネシアでは労働力人口は、1億3822万人(2020年8月中央統計局・労働力調査)で、一般的に幹部候補と言われる大卒者はわずか9.63%で、希少価値があります(2020年・インドネシア中央統計庁)。
インドネシアでは日本製の商品や日本文化に対する印象は非常に良いものの、「親日国家なので、日系企業で働きたい現地の優秀な人材は多く存在するはず」という考えはだいぶ薄れてきています。
欧米系企業やローカル企業や財閥系企業の存在感が増す中、もはや日系企業というブランドでプレゼンスを発揮できることはないと考えたほうがよさそうです。
日本語を学んだインドネシア人は日系企業を志望する確率が高いと言えますが、高い「日本語力」と「実務スキル」を兼ね備えている人はかなり稀であるといえるでしょう。
現地人材と仕事をしていると、日本と比べ、当たり前のことが当たり前に進まず、自分の会社の従業員だけができていないのか、と不安に感じられる方、思わず苛立ちが募ってしまうことも多く見受けます。
「ようやく採用した現地人材が短期間で転職してしまい、企業に定着しない」という悩みが頻繁に聞かれます。
インドネシア人の多くは欧米型のキャリア志向を持ち、転職に対する抵抗感が非常に薄いと言えます。
インフレに伴って毎年上昇している最低賃金や平均賃金が人々の転職意欲を後押しし、希少価値のある優秀な幹部候補人材は常に他企業の採用ターゲットになっていることを考えておきましょう。
優秀な現地人材を採用し、長期にわたって戦力化するために、必要だと思うことを5つ紹介します。
なにか仕事で失敗しても人前で叱ると大きな侮辱を受けたと感じます。何か問題があるときは、何が原因で何が起きているのか、その対策は何なのか整理して、個室で話をすることが良いでしょう。
インドネシアでは、ゴムの時間といわれ、時間は伸びるものという概念が定着していて、時間通りに行動できない人が多いです。約束の時間、締切の時間など、目標スケジュールなどを話し合いで設定し、管理することが良いでしょう。
日本では当たり前の報告・連絡・相談の報連相ができない人が本当に多いです。細かく例を出して説明してあげないと理解できません。責任範囲、権限、具体的な仕事内容についてできる限り文章に落とし、何をいつまでに、どのくらいどうやって仕事を進めるかを明らかにしておくことが良いでしょう。
現地人材がなぜ自社に入社すると決めたのか、何を得たいと思っているのか、何が達成できたら幸せなのかをきちんと話合うことが良いでしょう。現地人材の本人の期待と、現在の状態にズレがないか、双方が期待した方向に正しく進んでいるか、定期的に面談を重ねて確認し、必要があればその都度、修正していくことが望ましいです。
福利厚生、休暇、職場環境などで、定着率を向上することもひとつです。
場合によっては給与や賞与アップなど待遇面を相場に合わせて改定する必要もあるでしょう。
インドネシア人は給与アップのために転職を繰り返すジョブホッパーが多い中で、現地人材の採用や管理職の登用は困難に見えますが、事業は人なりで、現地人材がいなと事業も進まない事は、自分自身が痛切に感じています。
一社でも多くの企業が、現地人材の向上に成功することを期待します。