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インドネシアを表す言葉「尼」「ネシア」は日本人だけしか通じない!

アメリカを漢字1文字で表すと「米」。これは、誰もがわかる言葉ではないでしょうか。

では、インドネシアの漢字1文字は何でしょう。

答えは「尼」です。

発音に近い漢字を当てはめた

国名の漢字表記は、江戸時代に外国名を日本語にした際、元の発音に近いものをあてはめたものです。江戸時代中期、世界地図を作成する際、中国のものを参考にしました。しかし、中国とは発音が違うため日本語の発音に近い漢字をあてはめたことが始まりとされています。明治時代に入っても発音が近い漢字ということで、同じ国でも表記に違いがありました。

昭和27年(1952年)にカタカナで外国名を表記する法律が定められましたが、新聞などの見出しを作成する際、スペースの都合上カタカナでの表記はスペースの都合上難しかったため、雑誌記者や新聞記者たちの間で表記のルールが決められました。そして、現在の漢字表記に統一されていきました。

アメリカはなぜ「米」?

アメリカはなぜ「米」と表すかというと、発音の問題からです。アメリカ人のことを表す「アメリカン」という言葉のアクセントが「メ」にあったことから、当時の日本人の耳には「メリケン」と聞こえ、メリケンという言葉に「米利堅」という漢字をあてはめたため、現在でもそのなごりから「米国」と表します。

「アメリカを漢字で書いてください」と言われた時、多くの方は「米国」と書くのではないでしょうか。わざわざ「亜米利加」と書く人はあまりいないでしょう。ちなみに、中国語でアメリカは、「美国」と書きます。漢字は中国大陸からの文字なので、「漢字で書いてください」という設問ならば、どちらも正解となるはずです。

インドネシアはなぜ「尼」?

インドネシアは漢字で「印度尼西亜」と書きます。中国では簡体字を使うので、“ア”だけ異なる「印度尼西亞」となります。
日本語漢字のインドネシアも、単にIndonesiaをカタカナに当てはめたので、印度尼西亜はしっくりきます。

アメリカを米国、イギリスを英国と略すように、インドネシアにも略称があります。
インドネシアの略称はずばり「尼」となります。印度尼西亜の真ん中の文字を使用しています。インド(印度)が「印」という字を使うので、仕方ないのでしょう。

「ネシア」はどうなのか?

日本人は、ネット記事等の見出しで、インドネシアの事を「ネシア」と表記するケースを見かけます。文字数が限られている中、日本人にとってインドという国がある以上、今さらインドネシアを「インド」とは呼びにくいという声も聞きます。「インドネシア」を伝えるための創意工夫と捉えますが、少なくともインドネシア人は自らをそういった言葉では呼びません。

「ネシア」は差別用語に定められているわけではありません。インドネシアと長い名前だから、省略しているだけのことなのですが、時々耳障りに聞こえます。その由来は分かりませんが、「ネシア」とは、一部の日本人の間だけで通じる、上から見下したものの言い方でもあるとも感じます。

ネシアは「日本人同士でしか通じず、インドネシア人には通じない」

別に「ネシア」とインドネシアの人の前で言っても気にする人は誰もいません。
さげすんだ意味を込める人も中にはいるようだが、そんなネガティブな意味を理解するインドネシア人はいません。

初めは他意も無く使われていた言葉でも、時代背景によってその言葉にネガティブな意味が含まれてしまうことはありますし、使用者が意図せずとも相手を不快にさせてしまう言葉も多くあります。

「ネシア」という言葉を禁止する企業もあると聞いたことがあります。インドネシア人従業員の前で「ネシア」と言ったところで誰も理解せず、問題にはなりませんが、禁止した経営者はすごいと思う。例えそれが日本人同士でしか通じない言葉であろうと、同じ人としてお互いを尊重しようという姿勢の現れなのでしょう。

尼国をスタンダードにしたい!

インドネシアは、「Indo(様々な要素が混同している)」「Nesia(島々)」インドネシアという偉大な群島国家を表した立派な名前です。そんな中で、印度尼西亜の「尼」という漢字がインドネシアの略称です。

渡米、渡英するなど日本人は良く使いますが、渡尼とはあまり使いません。
一方で日本に来る事を来日と言いますが、インドネシアに来る事を言う「来尼」は、インドネシアの日本人駐在員などがよく使います。インドネシアにいる駐在員が、日本から来る出張者に向けてのメールなどで「来尼はいつになりますか?」と使います。つまり、「尼」はインドネシアを良く知っている日本人が良く使う言葉のような感じがします。

尼は良い響きであるため、米国や英国と同じようにインドネシアが尼国として、日本人にもインドネシア人にも認知されれば差別や不快な思いをする人は減るのではないでしょうか。
インドネシアを漢字で書いてください=「尼国」とスタンダードにしたいですね。

kenji kuzunuki

葛貫ケンジ@インドネシアの海で闘う社長🇮🇩 Kenndo Fisheries 代表🏢 インドネシア全国の魅力を発信🎥 タコなどの水産会社を経営中25年間サラリーマン人生から、インドネシアで起業してインドネシアライフを満喫しています。 インドネシア情報だけでなく、営業部門に長年いましたので、営業についてや、今プログラミングを勉強中ですので、皆さんのお役にたつ情報をお伝えします。