インドネシアの航空業界も苦境
インドネシアでのコロナ感染者は急増を続け、とうとう10月29日時点で40万人を越えてしまい、総死亡者数は東南アジアで最も多い国となっています。
感染が収まらないインドネシアですが、インドネシアのフラッグ・キャリアのガルーダインドネシア航空とライオンエアもかなり苦戦しています。
日本でもANAが今期5100億円以上の赤字、JALも2300億円と非常に厳しい経営状況となっています。
IATA(国際航空運送協会)は10月27日、2021年の航空業界全体の売上高について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行前の2019年と比較して約半分に落ち込むとの見通しを発表しました。
各国政府に対し、航空会社の財政維持や大規模な解雇を回避に向け、支援を改めて呼びかけたそうです。
苦戦が続くインドネシアの航空
ガルーダインドネシア航空は10月27日に地上スタッフからパイロットや客室乗務員に至るまで少なくとも700人を解雇すると発表した。
この動きは、6月に135人の契約パイロットを手放したのと同様の解雇で、旅行制限と国境閉鎖が航空業界に打撃を与えたため旅客部門の苦境が続いていることになります。
すでに苦戦しているガルーダインドネシア航空は、2年連続の損失の後に昨年7億2千万円の増収の後、今年のコロナ禍では再び赤字に落ち込み、今期の上半期だけで750億円あまりの巨額の損失を報告しました。
ガルーダは、他の多くの航空会社と同様に、現在少ない乗客のまま運行続けており、搭乗率(乗客が占める有効座席の割合)は、昨年の70.6%から今年上半期には55.5%まで低下しています。
国営のガルーダインドネシア航空に加えて、民間のライオンエアグループは、航空需要の低下により7月に子会社の格安航空会社ライオンエア、ウィングスエア、フルサービスキャリアのバティックエアから2,600人の契約社員を解雇したそうです。
ベントリスクに弱い航空業界
「イベントリスク」というものは、民間企業にとって多かれ少なかれ影響があります。イベントリスクとは、事前に予知できない出来事によって引き起こされるリスクのことです。
例えばテロや戦争、自然災害、もちろん今回のようなコロナ感染症なども大きな影響を及ぼして来ます。そして、イベントリスクにいちばん弱いのが航空業界です。
インドネシアの航空会社は、国営のガルーダインドネシアグループと民間のライオングループの2社に分けられます。
ガルーダは国営なのでインドネシア政府としても資金を入れるので、つぶれることは考えにくいですが、ライオンはかなり厳しい状況になりそうです。ライオンエアのようなLCCで安く飛ばす場合、搭乗率が悪いと経営悪化に直結してしまいます。
一方で、インドネシアは島国で離島もかなり多く、地域住民の生活の足となっている面もあるため、路線廃止もできない状況でしょう。ライオンエアの子会社のウイングスエアはプロペラ機で地方路線を支えています。
インドネシアでも国内航空事業を再構築する必要がでて、国の公的資金を投入してガルーダとライオンが統合などの話もでてくるのではないでしょうか。
国内線が1社体制になると、競争原理が働かないために運賃が高くなります。消費者にとってみれば、再編、統合してしまうとデメリットが大きいので、その辺りが1つの焦点になるのではないでしょうか。
来年以降も厳しい
航空旅客の需要が大きく落ち込んだことで、海外では、大手のタイ国際航空など、経営に行き詰まるところも出てきています。IATA=国際航空運送協会は、国際線の旅客需要が去年の水準に戻るまでには4年かかるという見通しを示しています。
新型コロナウイルスの感染が世界に広がった影響で、かつてない規模の運休や減便に追い込まれた航空会社。経済活動の再開に合わせて、少しずつ運航を再開しています。ただ、ウイルスの感染は終息しておらず、今の状態ですと長期戦になりそうです。移動制限や鎖国状態がいつごろ解除になるかで、今後の航空会社再編等の話が世界中で起こっていくことが予想されます。