ボゴールからの帰路は、観光地の活気と都会の喧騒が交錯する中で、ジャカルタへと戻るための道のりは、交通渋滞や混雑した駅、そしてインドネシア特有の公共交通機関を駆使しての移動という、まさに都市生活を体感する一日でした。ジャカルタまでの帰路の体験と宿泊先のメルリン パーク ホテルでのリラックスしたひとときを振り返ります。
ボゴールの自然豊かな環境を後にし、ボゴール駅に到着した瞬間、すぐに目に飛び込んできたのは、想像以上の混雑です。平日であればもう少し落ち着いているかもしれませんが、週末のボゴール駅はまさに「カオス」。人々が押し合い、駅舎を出入りする列が途切れることはありません。特にこの駅は、ジャカルタ行きの通勤電車の始発駅であるため、乗車しようとする人と下車する人が一箇所に集中し、混乱が生じやすくなっています。
ボゴール駅の構造も、この混雑をさらに助長しているように感じました。奥に伸びるホームに電車が到着するたびに、そこに向かう乗客が集中し、列車の乗り降りはまさに戦場のよう。電車を待つ列がホームいっぱいに広がり、その場に留まることが難しいほどの密集状態が続きます。私は列車に乗り込むまで、他の乗客と何度も肩をぶつけながら、ようやくホームを移動し、何とか列車に乗り込むことができました。
ボゴール駅での混雑をかき分け、ようやく列車に乗り込んだ後、次に考えたのは「座れるかどうか」ということ。1時間半にも及ぶバイクタクシーの移動で既に体は疲労しており、少しでも楽に移動したいという思いが強まりました。幸い、駅舎から遠い前方の車両にはまだ多少の空席があり、無事に座席を確保することができました。
インドネシアの通勤電車には、日本の中古電車が使用されています。これらの電車は、かつて日本の都市部で活躍していたもので、今でもジャカルタ近郊で多くの人々を運んでいます。車内に入ると、ドアの開閉音や走行音が懐かしく響き渡り、まるで日本に戻ったかのような錯覚を覚えました。特に、列車が加速する時の独特な音は、かつて東京や大阪で慣れ親しんだものと同じで、異国の地で日本の「名残」を感じられるのは不思議な感覚でした。
今後、インドネシアでは自国製の電車が導入されていくと聞いていますが、この日本製中古電車の姿が見られるのは今のうちかもしれません。この特別な「過去と未来の交差点」のような瞬間を、しっかりと味わうことにしました。
1時間ほど列車に揺られ、いよいよマンガライ駅に到着。ジャカルタのターミナル駅であるマンガライは、列車の乗り換えポイントとしても有名で、ジャカルタ市内を移動するためには避けて通れない場所です。ここでスディルマン駅行きの列車に乗り換える必要がありましたが、やはりマンガライ駅もまた、週末の混雑が絶頂を迎えていました。
駅構内は通勤客や観光客でごった返し、階段やエスカレーターは人の波で溢れかえっています。スムーズに乗り換えができるかどうか心配でしたが、何とか人の波に押されつつも、スディルマン行きの列車に乗り換えることができました。マンガライ駅での乗り換えは、インドネシアの都市生活を象徴する「混沌とした秩序」を感じさせる一幕でした。
マンガライ駅からスディルマン駅に到着し、ようやくジャカルタの中心部に戻ってきたという安堵感が広がりました。しかし、まだ目的地には到達していません。ここからは、ジャカルタの地下鉄MRTに乗り換えて、ブンダランHI駅(ホテルインドネシアロータリー)へ向かいます。
MRTはジャカルタの公共交通機関の中でも比較的新しく、清潔で快適な乗り心地が特徴です。数分間の乗車で、あっという間にブンダランHIに到着。
その後、さらにトランスジャカルタバスに乗り換え、最終目的地であるハルモニ地区へ。トランスジャカルタは専用レーンを走るため、渋滞に影響されることなく、スムーズに移動できるのが大きな利点です。長時間の移動で疲れ切った私にとって、MRTとトランスジャカルタの効率的な移動手段は非常に助かりました。
ついに、長い移動の最後にたどり着いたのは、宿泊先のメルリン パーク ホテルです。この5つ星ホテルは、ジャカルタの賑やかな中心地から少し離れた、静かな住宅街の一角に位置しています。外から見ると、昔ながらの家々や小さな商店が並ぶエリアに突然そびえ立つ高級ホテルは、少しアンバランスな印象を受けました。しかし、そのギャップが逆に興味深く、ジャカルタの多様性を感じさせる場所でもあります。
チェックインを済ませ、広々とした部屋に入ると、豪華なインテリアと落ち着いた雰囲気が心地よく、長時間の移動で疲れ切った体を癒すには最適な環境でした。
大きなベッドに身を沈め、リラックスしながらジャカルタの街を眺めると、まさに「贅沢なひととき」を味わっている気分になります。また、プールやスパといった施設も充実しており、都会の喧騒を忘れ、ゆったりとした時間を過ごすには最適な場所です。
ボゴール駅からジャカルタ中心部への帰路は、インドネシアの都市生活の一端を垣間見る貴重な体験でした。大混雑のボゴール駅やマンガライ駅での乗り換え、MRTやトランスジャカルタを駆使した効率的な移動の一連の過程を通じて、インドネシア特有の公共交通の魅力と課題、そしてジャカルタの多様な側面を体感することができました。交通の混乱や移動の難しさも、インドネシアの成長と共に改善されていくことでしょう。それまでは、この特有の混雑も一つの体験として受け入れ、ジャカルタを楽しみ続けたいと思います。