今回のフライトは、JAL国内線の中でも特別な機体、B767-346ER「JA601J」によるものでした。
22年の運用を続けるこの機体は、B767JAL初号機としての歴史的価値があり、近い将来の退役が噂される中、搭乗の機会を得られたことは非常に感慨深いものでした。JA601Jは、エアバスA350やB787のような最新鋭機材とは異なり、レトロな魅力を持つ機体ですが、清掃が行き届き、機内は古さを感じさせるどころか、むしろ時代を超えた安心感が漂っています。
今回の座席はクラスJの6A窓側。クラスJの広めのシートは、エコノミークラスより快適で、窓からの景色をじっくり楽しむには絶好の席でした。
12時45分発予定のフライトは機材到着の遅れにより40分遅れての出発となりましたが、その分、搭乗時のワクワク感が増し、いざ離陸の瞬間を迎えたときには期待感が一層高まりました。
鹿児島空港を離陸した瞬間、B767特有のエンジン音が耳に心地よく響きました。
最新機材の静音性とは異なる、どこか懐かしいこの音は、飛行機好きにはたまらない魅力の一つです。
上空に向かう中、機体は旋回し、阿蘇山のカルデラや九州の山々が眼下に広がりました。この瞬間、鹿児島の壮大な自然と旅の思い出が重なり、忘れられない光景となりました。
さらに飛行ルートは宮崎市内を経て、九州の海岸線を一望できる景色を提供してくれました。大きく弧を描く地形の美しさや、青く輝く海を見下ろす体験は、空の旅ならではの贅沢です。
飛行機が高度を上げ、四国の南を通過する頃には、雲海が広がり、空の青さが一層鮮やかに感じられました。
遅延についての機長アナウンスでは、「最大限の安全速度で羽田に向かっています」との説明がありました。この丁寧な対応は、日本の航空会社ならではの特徴であり、乗客の安心感を高めるものです。フライト中は無料Wi-Fiを活用し、フライトレーダーで飛行位置や速度を確認しました。偏西風に乗った機体は、対地速度時速533ノット(約990km/h)に達しており、通常より速いペースで進んでいるのが分かりました。
特に印象的だったのは、機長が最短距離を狙って飛行ルートを調整している様子です。飛行機がリアルタイムで進路を調整しながら効率的に目的地を目指していることに感動を覚えました。空を旅する魅力は、こうした技術の裏側を感じ取れる点にもあります。
ドリンクサービスが始まると、毎回のフライトで定番となっているコンソメスープをオーダーしました。高高度の機内でいただくコンソメスープは、どこか特別な味わいを感じます。適度な塩味が体に染み込み、リラックスした時間を提供してくれるのです。
静岡の南に差し掛かった頃、雲海の上から顔をのぞかせる富士山が見えてきました。日本を象徴するこの山の姿は、どの季節に見ても荘厳で、特にこの日は遠くからでもはっきりと確認できました。周囲に漂う雲の合間からそびえ立つその姿は、空の旅のハイライトともいえる光景でした。
羽田に近づくにつれ、機体は東京湾を通過。初冬の太陽は早めに西に傾き水面をオレンジ色に染め上げ、幻想的な景色を演出していました。この自然のドラマチックな光景に見とれながら、いよいよ羽田空港への着陸態勢に入りました。
着陸はスムーズで、遅延も20分まで回復。
飛行時間1時間20分という短いフライトながら、壮大な景色と機内サービスを満喫できた充実の時間でした。飛行機がスポットに停まり、機内を降りる際には、歴史ある機体でのフライトへの感謝を胸に刻みました。
羽田空港を出ると、わずか10分後にはエアポート特快に乗車し、品川へ向かうことに。この特快はノンストップで品川に到着するため、移動時間はわずか14分。2時間前まで鹿児島にいたことが信じられないほどの速さに驚きました。
予定されていた15時30分からの品川でのミーティングにも余裕で間に合い、まさに「速さ」と「正確さ」を兼ね備えた日本の交通システムを体感する一日となりました。これほどスムーズに移動できる環境がある日本の素晴らしさを改めて実感しました。