日本滞在を終えてインドネシアへ戻る私にとって、夕方発のJAL729便は少し新鮮なスケジュール。成田空港でラウンジをはしごして幸せ気分に浸ったものの、出発が遅れてジャカルタの乗り継ぎが危ぶまれるという不穏な状況が浮上しました。到着予定時刻が刻々と遅れてジャカルタ乗り継ぎ時間が削られていきます。果たしてマカッサル行きの最終便に間に合うのでしょうか。
遅延が重なり搭乗は約1時間遅れのスタート。ようやくドアクローズが終わり、ほぼ満席のキャビンは出発を今か今かと待ち構えています。
機材はボーイング787-9のJA881J。B787は機内が比較的乾燥しにくいとの評判で、夜行フライトでも多少は身体への負担が和らぐのが魅力。通常の飛行時間は6時間半〜7時間弱ですが、冬の偏西風の影響で今回は7時間半を要する見込みとのアナウンスがあり、かなり長丁場になるようです。機内アナウンスによれば、ジャカルタ到着が遅れとなり、午前0時40分頃になる見込み。さらにターミナルまでの移動時間を考えると、飛行機を降りられるのは1時前後という計算です。乗り継ぎのガルーダ・マカッサル行きが1時55分発に繰り上がっているため、国際線の到着からわずか30分で入国・荷物受け取り・国内線チェックインを済ませなくてはならないという、かなり無謀なチャレンジが待ち受けます。
幸いにもプレミアムエコノミーへのアップグレードを受けたため、シートピッチやリクライニングに若干余裕があり、夜行フライトでも多少の快適さが保証されます。足元を伸ばすだけでも、深夜の長旅では精神的に救われるもの。
座席まわりの収納スペースもエコノミーよりは多く感じられ、ブランケットやクッションなどをうまく組み合わせると身体を安定させて寝やすいポジションを作れます。機内はすでに照明が落ちており、窓の外も真っ暗。まるで深夜バスに乗るような感覚ですが、シートがしっかりしているだけで疲労度合いが変わってくるのを実感します。
離陸後、まもなく水平飛行に入ったころ、どうしても乗り継ぎが気になりCAさんを呼んで状況を相談してみました。しかし、やはりJALとガルーダ国内線間でコードシェアをしているわけではなく、しかも個人手配の乗り継ぎの場合、フライト遅延や乗り継ぎサポートは基本的に責任がとれないとの返答。ジャカルタに着いてから地上係員に相談するしか術はないとのことで、機内ではどうすることもできないのが現実のようです。
離陸から1時間ほど経過し、しばらくするとドリンクサービスがスタート。「あれこれ考えても仕方ない」と自分に言い聞かせ、緊張を緩和するために白ワインをオーダー。普段のフライトでもお酒は控えめにと思いつつ、気持ちを落ち着かせるにはちょうどよい。ゆっくりとグラスを口に運んでいると、多少の不安感も和らぎます。
続いて配られた機内食は、和風ハンバーグかチキンの赤ワイン煮込みからの選択。JALさくらラウンジやキャセイラウンジで散々食べてきたものの、提供される日本発の機内食はやっぱりクオリティが高いと定評があります。私は和風ハンバーグを選び、付け合わせの野菜と温かいお味噌汁で一息つくことに。
デザートにはハーゲンダッツの「メープルクッキー」フレーバーが付いていて、これもまた満足度大。「寝る前にこれだけ食べるのはきついかな…」とは思いつつ、夜行フライトだと食事のタイミングも独特です。食べ過ぎを後悔しながらも、「美味しいからいいや」と開き直るのもありでしょう。
機内食を平らげ、デザートも済ませて照明が落ちると、周囲は一気に就寝モード。プレミアムエコノミーのシートはフルフラットにはならないものの、腰の部分や頭の角度がしっかりサポートされるため、エコノミーよりはぐっと寝やすい仕組みです。
ストレッチを軽くして身体をほぐし、あとは眠りに落ちるだけ。最初は乗り継ぎ不安で頭がいっぱいでしたが、ワインの効果もあって意外とすんなり寝付けました。結果的に4時間弱ほど熟睡できたようで、夜行便にしては快適な“仮眠タイム”を確保できたのは大きいメリットです。
結局、乗り継ぎ時間がどうなるか考えても機内でできることはほとんどありません。カウンター操作が可能なわけでもないし、ガルーダの便を遅らせる手段もない。だったら「ひとまず寝て、着いてから全力で走るしかない」と思い切るのが精神衛生上良いかもしれません。
機内アナウンスによれば、飛行時間が伸びて定刻の1時間の遅れは確定。ターミナル到着が午前1時前後との見込み。私が乗り継ぐガルーダ・マカッサル行きは1時25分のボーディング開始、1時55分出発なので、実質30分ほどしか余裕がない計算。荷物を受け取り、国内線カウンターで再チェックインし、搭乗ゲートまで行くには本来2時間ほど欲しいのが正直なところ。それを30分でこなすのはほぼ不可能に近い。にもかかわらずスカルノハッタ空港を知り尽くしているので「もしかしたらうまくいくかも…」という淡い期待を捨てきれません。
着陸までに無料機内WiFiをつなげてフライトレーダーの情報を見てみると、スカルノハッタ空港のA滑走路が夜間はメンテナンスか騒音対策で閉鎖中のようで、B滑走路への着陸が確定。そこからターミナル3までは20分かかると機長が言っており、まさに痛恨の一撃。想像するだけで冷や汗が出ます。
こうして成田を1時間以上遅れて出発し、ジャカルタでの乗り継ぎがギリギリに追い込まれることが確定。プレミアムエコノミー席の快適さを満喫してもなお、不安が消えないままフライトは降下を開始します。「1時前に降りたとして、1時25分ボーディングの国内線に間に合うのか?」というスリリングな展開。深夜のスカルノハッタ空港で繰り広げられる“出口までの猛ダッシュ”をすることになりそうです。