ジャランコテはマカッサル名物の軽食のひとつです。毎週日曜日の午前中に、ジャランコテを売り歩く少年がやってきます。
ジャランコテ(Jalangkote)は、味付けしたビーフン、野菜、じゃがいも、卵などが半円形のパイ生地に包んだものを油であげたマカッサルの伝統的な食べ物です。生地の中身や味付けは、家庭によって色々異なりますが、皮をつなぎとめるために半円の外側が綺麗にねじれている形が特徴となります。
ジャランコテは、南スラウェシにいるマカッサル族とブギス族による伝統的な作り方が継承されていて、人が集まる時のお茶請けとして良く出てきます。
ジャランコテのジャラン(Jalang)は「道路」で、コテ(kote)はしゃがんだり叫んだりすることを意味するそうで、小さな子供たちが道路で叫びながら売り歩いたことに由来するとのことです。
毎週日曜日の午前中に「ジャランコテ」と叫ぶ少年の声が聞こえてきます。朝早くからお母さん達が手作りしたジャランコテを、少年達が大きなプラスチックケースを持って売り歩きます。
せっかくなので、お皿を持ってアパートの扉の前で待っていると、少年たちが近づいてきました。
ジャランコテを10,000ルピア分頂戴とお願いすると、皿の上に5個載せてもらいました。もうひとりの少年が、水のペットボトルに入ったサンバルソースを持っていて、コーヒーカップの中に入れてもらいます。
この光景がジャランコテの伝統的な売り方となります。もちろん、ワルン屋台などでも買うことができますが、少年達が売ることはありません。
アパート界隈を売りに歩く少年達は、商売というよりは小遣い稼ぎのために売り歩いているので親近感が湧きます。
早速ジャランコテを食べます。作りたてのようでほんのり温かい状態です。パイ生地がさくっとして、中からジャガイモ、ビーフン、野菜などがほどよい塩加減で味付けされています。コロッケの中身がパイ生地に包まれている感じがします。
ジャランコテを食べながら、学校の帰りにお肉屋さんの揚げたてのジャガイモコロッケを良く食べた昭和の時代の頃を思い出しました。1個食べるとお腹が満たされてくる幸せが、まさかインドネシアのマカッサルでジャランコテを食べることで蘇りました。ジャランコテも1個で満足感を得られるのはコロッケと一緒です。
インドネシアに住んでいると、日本も昔こんな感じだったと思い出す事が良くあります。昭和の時代が今まさにインドネシアで再現されているというのは、近代化した現代において、心温まるほっとした気持ちにさせてくれます。