インドネシアで多くの日本人を悩ませているインドネシアの習慣「ジャムカレット(Jam Karet)」をご存知ですか?
インドネシアを深く知らない方には、かなりストレスになってしまいます。今回は、ジャムカレットについて紹介します。
インドネシアでは日本とはちがう「時計」が使用されています。といっても、もちろん物質的な意味ではありません。
「ジャムカレット(ゴムの時間)」という表現があるます。インドネシアでの時間を表すときにしばしば使われる言葉です。
ジャム(Jam) ・・・ 時、時間。
カレット(Karet) ・・・ ゴム
日本語に訳すと「ゴムの時間」となります。つまり時間がゴムのように伸びたり縮んだりするという意味となります。
インドネシアでは、「時間は延びるものだから約束の時間に来ないとか、キャンセルはしょうがないもの」ということです。遅刻は当たり前、スケジュール変更のオンパレードでインドネシア経験者であれば、これで苦い思いや、インドネシア人を嫌いになってしまった人も少なくないのではないかと思います。
日本人から見れば、インドネシア人は「時間を守る」という概念があまりないように思います。もちろん、すべての人がそうではありませんが、大部分の人についてかなり「ルーズ」な感覚を持っているといえるでしょう。時間を守らないのが、インドネシアの当たり前の文化のひとつなのです。
日本人から見て、インドネシアは非常に「のんびり」とした国だと言われています。
例えば、昨日もオンラインミーティングで、インドネシア人と以前から約束しておいた大事な面接の会議に、時間になっても入ってきません。
30分位待っても入って来ないので、電話をしましたが、電話にも出ません。
仕方ないので、会議を進めていると、1時間経った後電話が入り、実はインターネットがつながる場所を探していたと言います。いやいや、以前から約束している大事な面接会議なのだから、事前に調べて待機しておくのが常識だろう、とイラット思いますが、これがゴムの時間です。
遅れた点は責めずに、明日に面接会議を再設定することで、良いこととする。これがインドネシア人とつきあう流儀です。
ゴムの時間の対処法は、素直に諦めることです。しかし、ただ諦めるのではなく、事前準備を整え、何度も連絡をとる必要はあります。そうすることで、少しは改善されるかもしれません。
インドネシアでの時間的観念は非常に興味深く、インドネシアで言う昨日の「クマリン(kemarin)」は昨日以降のすべての過去を示し、明日の「ベソ(besok)」は明日以降すべての未来を指します。
例えば、いつまでにできるのと言う返答で、「明日(ベソ)」と言われたとしても、その発言者は必ずしも日本で言う「明日」を意味しているわけではなく、むしろ、明日以降の「いつか」のニュアンスを含んでいます。
インドネシアでの時間は、まさにゴムのように伸びたり縮んだり、日本の一分一秒正確に刻まれる時間とは対極にあるものかもしれません。
現在は、インドネシア人はいつも携帯電話を手に持っているため、SNSや電話をすれば連絡をとる事が可能です。居場所を特定できるので、昔は1時間ぐらい遅れるのが当たり前だったのが、今ではそれが30分ぐらいになって、ゴム時間が段々に縮んできたような気がします。
もちろん、ジャカルタなど大都市では、交通渋滞などで時間の計算ができず、遅れることはよくあるのですが、渋滞情報や位置情報が共有できるようになり、少しずつ時間が計算できるようになってくると、ゴム時間のゴムも縮んでくるようです。
携帯電話やインターネットの発達で、インドネシアから「ゴム時間」という言葉がなくなる時代が、いつか来てしまうのでしょうか。