農林水産省が発表した調査によると、2023年の調査では海外における日本食レストランの店舗数は約18万7,000店となり、前回調査の2021年から約2割増加しました。アジアでは約2割増加し、12万2,000店となりました。この急成長の背景には、コロナ禍後の規制解除、日本食人気の高まり、チェーン展開する企業の進出などが要因として挙げられます。
インドネシアにおける日本食の広がりは、1990年代に始まりました。当時は主にジャカルタなどの大都市で寿司や天ぷらが提供される高級レストランが中心でした。初期の頃は、外国人駐在員や観光客をターゲットとした限られた市場でしたが、徐々に現地の人々の間でも日本食の人気が高まっていきました。
2000年代以降、インドネシアの経済成長と中間層の拡大に伴い、日本食レストランの数は急増しました。大都市だけでなく、地方都市や観光地でも日本食レストランが増え、日本食が一般市民の間で広く受け入れられるようになりました。現在ではバリ、スラバヤ、メダン、マカッサルなどの地方都市でも多様な日本食レストランが立ち並んでいます。
インドネシアでの日本食の人気メニューには、以下のようなものがあります。
寿司は最も人気のある日本食の一つで、大都市では回転寿司チェーンや高級寿司店が数多く存在します。インドネシアでは、カリフォルニアロールやドラゴンロールなどのフュージョン寿司が特に人気です。また、現地の味覚に合わせて甘めの味付けやスパイシーなソースを加えたアレンジが施されています。
ラーメンは日本食ブームの中で急速に人気を集めています。塩ラーメンや坦々麺が特に好まれており、ラーメン専門店やチェーン店が多く進出しています。インドネシア人の嗜好に合わせて、辛味を加えたバリエーションも提供されています。
天ぷらはインドネシア人の揚げ物好きに合致し、人気メニューの一つです。エビ天ぷらや野菜天ぷらが特に好まれ、サクサクとした食感が人気を博しています。
焼き鳥も人気があり、居酒屋スタイルのレストランで提供されることが多いです。特に、一串一串丁寧に焼かれた焼き鳥が評判です。
宗教上の理由で豚肉が食べられないため、チキンカツやからあげが代替メニューとして人気です。特にカリカリとした食感が人気を集めています。
スパイシーな味付けが好まれるインドネシアでは、日本風カレーも人気があります。カツカレーや野菜カレーなど、多様なバリエーションが提供されています。
日本食がインドネシアで広がる中で、現地の食文化との融合も進んでいます。例えば、インドネシアの代表的な辛味調味料であるサンバルソースと日本食を組み合わせることで、現地の人々に合った新しい日本食の提供が行われています。寿司にサンバルソースを加えた「サンバル寿司」や、ラーメンにスパイシーなトッピングを加えた「サンバルラーメン」などがその例です。
インドネシアはイスラム教徒が多数を占める国であるため、飲食店がハラル対応を行うことは非常に重要です。ハラル認証を取得することで、宗教上の制約を守りつつ、より多くの顧客に安心して食事を楽しんでもらうことができます。多くの日本食レストランは、ハラル認証を取得し、豚肉やアルコールを使用しないメニューを提供しています。
日本の飲食企業もインドネシア市場に積極的に進出しています。例えば、ラーメンチェーンや寿司チェーンがインドネシアで店舗を展開し、現地のニーズに合わせたメニュー開発を行っています。また、日本の食品メーカーもインドネシア市場に進出し、現地での日本食材の普及を進めています。
インドネシアでの日本食ブームは、経済成長と中間層の拡大を背景に急速に広がっています。多様な日本食メニューが提供され、現地の食文化との融合も進んでいます。今後も、日本食ブランドの確立とハラル対応を含めた戦略的な展開が求められるでしょう。