スラウェシ島の自然と田舎の美しさを間近に感じるスラウェシ鉄道の旅を詳細に紹介します。マンダイ駅から終点ガロンコン駅まで、スラウェシ島の魅力をたっぷりと堪能できるルートです。
早朝のマンダイ駅は、旅の始まりにふさわしい周辺の静けさと乗客の活気が混在しています。
列車に乗り込む際、目に飛び込んでくるのは鮮やかな青い席。まだ目新しさが感じられます。列車は3両編成で、特別な装飾やサービスはありませんが、そのシンプルさがまた旅のワクワク感を増します。出発時刻の8時20分を少し過ぎて、ドアが閉まり、ゆっくりと駅を後にします。
窓の外に広がるのは、開けた風景と稀に見る民家、そして途中の田園風景が次第に広がっていきます。
列車はマロス駅、ラマンラマン駅といくつかの小さな駅で停車します。
この地域はエビ養殖で知られ、多くの池が点在しているのが特徴です。
列車が各駅に接近すると、地元の駅スタッフが手を振って迎えてくれる温かな光景が見られます。彼らは旅の安全を祈りながら、静かに列車を見送ります。早朝の涼しい風が車窓から吹き込み、移動するたびに新鮮な空気が車内に流れ込みます。
マロス県からパンケップ県に入ると、風景はさらに豊かな田園風景へと変わります。
ここでは広大な稲田が一面に広がり、時折、小川がその中を静かに流れています。
列車は速度を上げ、時速90kmで風を切りながら進んでいきます。窓から見えるのは、遠くに山々のシルエットと、近くを流れる川のキラキラとした水面です。この区間では10分から15分おきに駅に停車しますが、乗降客は少なく、ほとんどが通過する長閑な田園風景を楽しむためのものです。この列車は160km/hの高速運転にも対応できるよう設計されており、揺れが少なく快適な移動が可能です。
特に印象的なのは、マンダレ(Mandalle)駅を過ぎた後に訪れる、海が一望できる高架橋の区間です。
ここはパンケップ県とバルー県の境に位置し、丘が海に迫るように立ち並びます。列車は丘を駆け上がり、突然開けた高台からの景色には誰もが息をのみます。
青い海が広がり、波の音が遠くから聞こえてくるかのようです。この区間だけで、旅の価値があると言っても過言ではありません。
約1時間半の旅を経て、列車はバルー駅に到着しました。バルー駅はバルー県の中心駅で、駅前には広大な駐車場がありますが、訪れる車は少なく、比較的閑散としています。ここで少数の地元住民が降りますが、多くの乗客は終点のガロンコン駅まで続行します。バルー駅を出発後、列車は本線から引き込み線に入り、大きなカーブを描いて終目的地であるガロンコン駅に到着します。
ガロンコン駅はまだ開発が進んでおらず、主に貨物の積み替えに使用される静かな場所です。
ここで列車を降りた乗客のほとんどが、折り返しの列車に乗るか、5時間後に出発する次の列車まで待つかの選択が迫られます。
昼近かったので、バクソ屋台で多くの方が群がって焼きバクソや麺の味を楽しんでいます。
次の列車到着までかなり待ち時間が長いためバルーの街まで歩いて散策しようかと思っていましたが、30℃を超す晴れ間の中を散歩するのも過酷だなと感じてどうしようか思案したところ、偶然駅前に停車していたインドネシア国営のダムリバスに飛び乗り、次なる目的地パレパレへと向かう決断をします。
この思いがけない展開が旅の醍醐味でもあります。