インドネシアのジョコウィ大統領が推進している国家プロジェクトである、ジャカルタ・バンドン高速鉄道に対して批判が高まっています。先日建設中の鉄橋の柱部分が強度不足で取り壊し中に柱が倒壊し、さらにはバンドン市内には駅が建設されず、途中駅で既存の鉄道に乗り換えてバンドンに移動するなど、不必要論が高まっています。
ジャカルタ・バンドン鉄道会社であるPT Kereta Cepat Indonesia China(KCIC)はジャカルタからバンドンまでの142.3kmの線路を建設中であり2021年10月現在の建設進捗状況は79%に達したということです。
ジャカルタ・バンドン鉄道は、ジャカルタ・ハリム駅を基点に、カラワン駅、パダララン(Padalarang)駅を経由しバンドン市内の郊外を通過しテガルアル(Tegalluar)駅が終点となりますが、テガルアル駅はバンドン中心街から20Km以上離れていて非常に遠い場所に建設中です。バンドン市内は住宅が密集しており土地買収が高額になることが理由だそうです。
バンドン市内に移動したい場合は、バンドン市内の西の郊外に位置しているパダララン駅にて既存のKAI国鉄に乗り換えて移動するようです。高速鉄道の到着に合わせてバンドン行きの接続列車を運行する場合、パンダランからバンドンまでの既存列車の所要時間は22分で到着できるようですが、せっかくの高速鉄道が台無しです。
既存鉄道ではなく、車で移動した場合は渋滞なしで40分ですので、途中渋滞があれば1時間以上かかるのでジャカルタからバンドンまで中心部同士のアクセスを考えると4時間かかると言われています。
KAI国鉄でジャカルタ・ガンビル駅からバンドン行きの特急列車に乗れば最速2時間40分で到着しますので、ガンビルからハリム駅まで乗り換える時間とパンダランからバンドン市内まで移動を考えると高速列車に乗る必要があるのかと疑問に思えます。
高速鉄道の高架橋建設中の柱が倒壊という衝撃的な事件が発生しました。動画も公開されているのでご覧いただきたいのですが、柱の強度不足を指摘され柱を作り直すために撤去作業中にバランスを崩して、柱が倒壊しています。動画を見るとクレーンが1台巻き込まれていますが、間一髪逃げて死傷者は出なかったようですが、高速鉄道に対して呪いがかけれているかのような不吉な事故となってしまいました。
高速鉄道資金が膨大になり、ジョコウィ大統領が公的資金は必要ないと言及していたのが一転4.3兆ルピアの公的資金投入を決定し失望と批判が高まっています。
ジャカルタ-バンドン間は約150Kmと比較的近距離であるため高速鉄道には不向きとされていて、高速道路と既存鉄道で十分であると言われています。建設費用の増大によってジャカルタの駅はハリム駅、バンドンはテガルアル駅と中心部からは離れた場所に駅が作られるので、高速鉄道1本だけでジャカルタからバンドンに移動することはできず、乗り換えが必須であることから、不便な高速鉄道をどれだけの人が利用するのかと批判が高まっています。
開通当初は、新しもの好きの見物客が乗る可能性ありますが、高速鉄道の借金返済のため乗車券は30万ルピア以上になると言われており、KAI国鉄のジャカルタ・バンドン間の普通座席は9万ルピア、エグゼクティブ座席でも12.5万ルピアですので、乗客が空の状態で走るのが目に見えています。営業開始しても膨れ上がった中国やインドネシア国家への借金返済に100年以上かかると言われています。
高速鉄道によってインドネシアの将来に大きな禍根を残す事にならないことを望みます。