「何もない」が、心を満たす週末!スラウェシ東海岸ケンダリ小旅行
インドネシアで暮らしていると、週末にふらっと出かけたくなる瞬間があります。仕事の疲れをリセットするには、自然や文化に触れられるローカル旅がちょうどいい。ふと思いついたのが「ケンダリ」でした。「ケンダリってどこ?」と思った方も多いかもしれません。スラウェシ島の南東部、ケンダリ湾に沿って広がる港町がそこにあります。観光情報は少なく、日本語で紹介されている記事もほとんどない。でも、だからこそ足を運んでみたくなったのです。出発前のプロローグとして「ケンダリってどんな街?」「どうやって行けるの?」という情報をまとめてみました。
ケンダリってどんな街?
ケンダリ(Kendari)は、南東スラウェシ州(Sulawesi Tenggara)の州都であり、スラウェシ島の東海岸に位置する港町です。人口は約35万人。市内はケンダリ湾に沿って広がっており、どこにいても海を感じられるような穏やかな雰囲気が魅力です。
この街の最大の特徴は、“観光地らしくない”ところ。テーマパークや高級リゾートがあるわけでもないし、SNSでバズるような絶景もない。でもその代わり、暮らしに根ざした風景が日常として広がっていて、旅人にとっては新鮮で心地よい場所です。
市内中心部には、海の上に浮かぶように建てられた「アル=アラム・モスク(Masjid Al-Alam)」があり、夕方から夜にかけてのライトアップは幻想的。そのほかにも、ローカル市場、屋台、そして静かなビーチ…目立たないけれど、丁寧に過ごせば深く印象に残る旅になる予感がしています。
ケンダリまでの行き方
マカッサルから飛行機で約1時間
今回の旅はマカッサルからスタートします。マカッサルとケンダリはスラウェシ島内の都市同士ですが、直線距離でもかなり離れており、山や谷が多いため陸路での移動は現実的ではありません。
一番おすすめの移動手段は飛行機です。マカッサルのスルタン・ハサヌディン国際空港からケンダリのハル・ウレオ空港(Haluoleo Airport)までは、シティリンク(Citilink)、ライオン・エア(Lion Air)、ガルーダ・インドネシア航空(Garuda Indonesia)、バティック・エア(Batik Air)など複数の航空会社が運航しており、所要時間はわずか1時間ほど。今回予約したのは、ガルーダの土曜朝6時発の便。航空券は片道90万ルピア(約8,500円)ほどでした。週末旅行としてはちょうどよい時間帯で、朝のフライトで現地に到着して、そのまま市内を巡ることができます。

フェリーという選択肢もあるけれど…
旅好きなら「他の行き方もあるのでは?」と思うかもしれません。実際、マカッサルからフェリーを使ってバウバウ(Baubau)を経由し、そこからさらにケンダリへ入るルートも存在します。ですが、こちらのルートは移動時間だけで24時間以上。海の旅が好きな人や、超ローカル体験を求めている方には向いているかもしれませんが、週末だけの旅ではおすすめしにくい方法です。
陸路(バス)は…体力勝負
実は、マカッサルとケンダリは陸続きではあります。バスや車で行くことも可能です。しかしこのルート、道がとにかく長くて悪路。所要時間は最短でも20時間、しかも道中の道路状況や天候次第ではそれ以上かかることも珍しくありません。「のんびりバス旅が好き」というタイプでない限り、この選択肢は避けるのが無難です。時間効率と快適さを考えれば、やはり飛行機がベストでしょう。
ケンダリで過ごす、週末の2日間
旅先での過ごし方も大切な要素。今回の旅で私が考えているのは、観光地を駆け足で巡る旅ではなく、のんびりと“その土地の空気を味わう”ことです。
ボコリ島(Pulau Bokori)
ケンダリ中心部から車で30分+ボート10分の場所に浮かぶ小さな島。白い砂浜とクリアブルーの海が広がる、ローカルにも人気のスポットです。混雑も少なく、まさに隠れ家ビーチ。デイキャンプやピクニックにもぴったりで、泳いだり、ただ椰子の木の下で昼寝をしたり、そんな時間を楽しむ予定です。

アル=アラム・モスク
海にせり出すように建てられたこのモスクは、まさにケンダリのシンボル。夕方から夜にかけての光景は息をのむ美しさ。観光客も中に入ることができ、敬虔な空気にふれるひとときも旅の醍醐味です。
ローカル市場と郷土料理
街中には地元の人々が集まる市場もあり、新鮮な魚介類やスパイスが並びます。朝の市場散歩も楽しみのひとつ。「シノンガ(Sinonggi)」というタピオカ粉を使った地元の名物料理も、現地でぜひ味わってみたいと思っています。
宿泊と街歩きの予定
宿泊はケンダリ中心部にある3つの中級ホテルから選ぶ予定です。クラロホテル、SAMEホテル、スイスベルホテルの3軒が並んでいて、どこも評価が高く快適とのこと。価格は1泊60万〜80万ルピア。移動は主にGoJekやGrabといったアプリのオンラインタクシーを使えば、街中の移動もスムーズ。流しのタクシーは少ないので、事前にアプリを入れておくのがおすすめです。
次回は旅のスタート!
ケンダリは、有名観光地のような華やかさはありません。でも、“何もない”からこそ、自分のペースで、気ままに歩き、自然や人々と静かに向き合える──そんな場所だと思っています。次回からはマカッサルを出発し、朝焼けのフライトに乗って、小さな旅の第一歩が始まります。