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朝のケンダリ、マングローブの先の海へ!静けさに包まれた港町で、心ほどけるひととき

ケンダリ・ハルオレオ空港に約3年ぶりに到着。宿泊先のスイスベルホテル周辺を朝のうちに散歩し、マングローブ越しに海やモスクの風景と再会しました。静かで素朴な港町ケンダリの街歩きは、のんびりとした時間を味わえる癒しの旅の始まり。自然と人のやさしさに触れられる、スラウェシ東海岸ならではの魅力をお伝えします。

約3年ぶり、ハルオレオ空港に降り立つ

ガルーダ・インドネシア航空GA604便は、定刻の午前7時ちょうどにケンダリ・ハルオレオ空港(KDI)へ静かに着陸。機体のドアが開くと、南東スラウェシ特有の温かく湿った空気が一気に流れ込んできました。タラップを降りた瞬間、肌に感じたのは、どこか懐かしさを覚える空気の香り。海の匂いと森の湿り気が混ざり合ったような、独特の「ケンダリの空気」です。

空港ターミナルは相変わらずコンパクトで清潔。2022年に訪れたときと比べても、大きく変わった様子はありませんが、ガラス張りの設計で自然光がたっぷりと入り、明るく開放感があります。地方都市らしい素朴さと必要十分な機能性を備えた、ちょうどいいサイズ感の空港です。手荷物のみだったこともあり、到着ロビーへはスムーズに出られました。

タクシーの呼び込みは相変わらず強烈

しかし、到着ロビーを一歩出た瞬間、思わず「うわっ」と声が漏れてしまいます。3年前の記憶が一気にフラッシュバックしました。

そう、ケンダリ空港の難関ともいえるのが、タクシーの呼び込み。とにかく「Taksi, Taksi!」という声が、まるで波のように押し寄せてきます。ざっと見渡すだけでも、50人近くはいるかという人数。通路の両脇から一斉に声をかけられる光景には、さすがに圧迫感を覚えました。

感じが悪いというより、「なんとしてでも客をつかまえたい」というエネルギーが強すぎて、逆に一歩引いてしまいます。

GRABで市内へ

そんなときに頼れるのが、配車アプリ「GRAB」。呼び込みをかき分けるようにしてスマホから手配した車を待つことに。5分ほどでドライバーが到着し、無事、乗車できました。

行き先は、市内中心部にあるスイスベルホテル・ケンダリ。空港から市内までは約20kmあり、GRABでの料金は約17万ルピア(約1,600円)ほど。高速道路こそありませんが、道は広く、信号も少なく、渋滞もほとんどありません。

走行中、窓の外に広がるのは山や畑、そしてときおり見える小さな集落。自然と人の暮らしが共存する、のどかで心落ち着く風景が続きます。旅の緊張がふっとほどけていくような時間でした。

スイスベルホテルに到着、そして朝の街歩きへ

ホテルに到着したのは8時過ぎ。まだチェックインには少し早かったため、荷物を預けてそのまま外へ出てみることにしました。

今回の街歩きの目的はシンプル。「海を見たい」。観光地を巡るでもなく、誰かと約束があるわけでもなく、ただ自然と向き合いたい――そんな思いから始まる散歩です。

海を探して、マングローブの道を行く

ホテルの前には大きな通りがあり、その向こうには海があるはず――そう思って歩き始めた先に現れたのは、一面に広がるマングローブ林でした。

背の高い木々が、まるで緑の壁のように立ちはだかり、海への視界を完全に遮っています。波の音すら届かないほどに、静かで密度のある緑。その静寂が、かえって自然の力強さを感じさせてくれます。

このマングローブこそが、ケンダリの自然がしっかりと守られている証。

湿った土の匂い、かすかに混じる潮の香り、葉と葉のあいだから吹き抜ける風が立てる音――五感をゆっくりと開いていくような感覚に包まれていきました。

マングローブの切れ間から、ついに海が現れる

しばらく歩いていると、マングローブの途切れた小さな空き地のような場所に出ました。

そして、ようやくその先に、待ち望んでいた海の景色が現れます。

深くも浅くもない、やわらかな青をまとった静かな海。

波はほとんどなく、鏡のように穏やかな水面が、朝の光をやさしく受け止め、キラキラと輝いていました。

岸辺には、ペンキがところどころ剥がれた小さな漁船が何艘か係留され、遠くの水平線上には、アル=アラム・モスクの青緑のドームが、ぽっかりと浮かんでいるように見えます。

海に浮かぶように建つ、ケンダリの象徴

アル=アラム・モスク(Masjid Al-Alam)は、海に突き出すようにして建てられた、ケンダリの象徴的な建築物。

その白い外壁と青緑のドームは、朝の光を受けてやわらかく反射し、空と海の境界にぽつんと浮かんでいるかのような印象を与えてくれます。

前回このモスクを訪れたのは夕暮れ時。オレンジ色に染まる空の中でのシルエットも美しかったけれど、静寂に包まれた朝の光景はまた格別。まるで別の場所にいるかのような、清らかで凛とした空気が漂っていました。

港町の朝は、歩くだけで満たされる

散歩道にはほとんど人影がなく、たまにジョギングをしている若者とすれ違う程度。小さな屋台では、朝の支度を始める店主がゆっくりと動き始めています。

特別な観光地ではないけれど、目に映るすべてが穏やかで美しい。

海に浮かぶ船、かすむ島影、足元を這う小さなカニ、そして移ろう空の色――。すべてが心に静かにしみ込んできます。

ただ海を眺めて過ごす時間の豊かさ

海沿いに置かれた古いコンクリートの縁に腰を下ろし、ただ海を眺める時間。

風が頬をなで、波が寄せては返す音が静かに響き、遠くからはモスクのアザーンが空気を震わせるように届いてきました。何かを“見る”ための旅ではなく、何かを“感じる”ための旅。ケンダリの海沿いの散歩は、そんな旅の豊かさを静かに教えてくれました。

ケンダリの魅力は、自然の中に息づく“日常”

マカッサルのような大都市とは違い、ここケンダリには人と自然との“ちょうどいい距離感”があります。

地元の人たちは控えめながらもやさしく、街は自然と調和し、空気はどこまでも清々しい。

ほんの短い時間だったけれど、海辺で過ごしたこの朝のひとときは、旅の中でもきっと忘れられない記憶になることでしょう。

kenji kuzunuki

葛貫ケンジ@インドネシアの海で闘う社長🇮🇩 Kenndo Fisheries 代表🏢 インドネシア全国の魅力を発信🎥 タコなどの水産会社を経営中25年間サラリーマン人生から、インドネシアで起業してインドネシアライフを満喫しています。 インドネシア情報だけでなく、営業部門に長年いましたので、営業についてや、今プログラミングを勉強中ですので、皆さんのお役にたつ情報をお伝えします。