朝5時、まだ街は眠りの中にありました。アラームの音で目を覚まし、ゆっくりとカーテンを開けると、そこには静かに移り変わりゆく空のグラデーションが広がっていました。深い群青から淡いピンク、そしてオレンジへと変わる色彩の帯。柔らかくてあたたかな朝でした。
刻一刻と明るさを増していく東の空。やがて6時ちょうど、地平線の彼方から太陽が顔をのぞかせ、スイスベルホテルの窓辺を金色に照らします。その光に包まれながら、ケンダリで過ごした日々が胸に去来し、「来てよかった」としみじみと思えるような、そんな旅の締めくくりとなりました。
簡単に荷物をまとめて、まだ静かなホテルのロビーへ。チェックアウトを済ませます。フロントの窓からは、前日と同じくのどかな草原の風景が広がっており、都市の中心にいながら、まるで郊外のリゾートに滞在していたかのような心地よさがありました。
予約していたGrabの車がホテル前に到着。空港までの道のりは約30〜40分。朝の空気はすっきりと澄み、どこか涼しさすら感じられます。車窓には、徐々に目を覚まし始めた街の風景が流れ、日常へと戻る地元の人々の姿が見えてきました。
7時ちょうど、ハルオレオ空港に到着。まだ朝の光がやわらかく降り注ぐなか、空港ターミナル前には数台の車が停まり、のんびりとした空気が漂っていました。南東スラウェシ州の空の玄関口であるこの空港は、規模こそ大きくはありませんが、機能はしっかりしていて、清潔感のある造りです。初めて訪れる人でも戸惑うことなくスムーズに利用できるようになっています。
搭乗するのは、ガルーダ・インドネシア航空のGA605便。7時55分発のマカッサル行きで、ちょうど1時間ほどのフライトです。折り返し便となるGA604便がすでに到着しており、滑走路で朝日を浴びながら静かに待機している姿が見えます。
搭乗案内までコーヒースタンドの売店には地元産のコーヒー豆やお土産が並び、出発ゲート近くの小さなカフェでは、朝の1杯を求めて静かに過ごす旅人たちの姿が見られました。私もそのカフェでホットコーヒーを注文しほっと一息つきました。
7時30分、搭乗案内が始まり、整然と列ができはじめました。大きな空港のような混雑はなく、ゆっくりとしたテンポで進む搭乗手続き。
それがまた、このケンダリという土地らしい、ゆるやかで落ち着いた雰囲気を保ってくれていました。これから、マカッサルに向けて出発します。