インドネシアは年中気温も高く、あまり変わりません。季節は雨季と乾季しかなく、日本のような季節の変わり目に風邪をひく事はなさそうですが、インドネシア人も結構体調を崩します。インドネシアでは、風邪をひいたときのジャワ島で古くから行われている伝統療法にコインマッサージがあります。
本日は、コインマッサージについてお話します。
インドネシア人は、風邪をひくと「マスッアンギン(masuk anggin)」と言います。身体に「風が入った」という意味だそうで、体調が悪くなる事を指すそうです。単に風邪を引いた時だけでなく、肩が凝った、車に酔った事も全て「マスッアンギン」と呼びます。
インドネシアでは、風邪など体調不良になった場合、「ジャムゥ」という漢方薬を飲む事が一般的ですが、コインマッサージを受けて風邪を治す方法が存在します。
インドネシアでは体調が悪い時や、風邪気味の時は、コインマッサージの民間療法で症状を和らげます。その民間療法は「クロカン(kerokan)」と呼びます。
背中にマッサージオイルを塗ってコインで背中をこすり、血のめぐりを良くして体の中の悪いものを排出させようという方法です。
硬貨の端をしっかりと使って胸と背中に平行な縞模様を作り出すことから始まります。コインで皮膚の表面を刺激することで、血行が良くなって様々な症状を改善すると言われ、毒素を含んだ血液が肌の表面に出て赤い痕が現れてきます。
体調が悪ければ悪いほど、優しく擦るだけで痕が赤くなります。見た目はかなり痛々しいですが、実際はあまり痛みを感じないと言います。
初めて背中にできたクロカンの痕を見た時は、びっくりするかもしれません。
コイン以外もスプーンや骨または木の棒のような用具や、子供用にはエシャロットを使用することもあります。
クロカンの起源は中国伝統療法のカッサ(刮痧)だと考えられていて、日本でも『カッサ』療法呼ばれています。ヒスイや水晶などの天然石や、牛角、陶磁器などで、リンパをマッサージして、体内の毒素を肌表面に押し出す療法です。
抹消神経を刺激して免疫を高める働きがあり、肌をこすると熱が発生するため、乾布摩擦や、お灸にも通じるものがあるのでしょう。
ケロカンをした後は体が温まり、薬を飲む事で、病人は安心して眠くなり、その後回復するそうです。
インドネシアの偉大な民間療法ですが、コインを使い、強すぎると皮膚が赤むけになって、痛いだけ、おまけに皮膚感染を起こす可能性もあるので、皮膚が弱い人にはおすすめできませんね。