インドネシアの人々は外食を好む傾向から、外食産業は非常に注目されています。
中でも、ファストフードはインドネシア人の生活に広く浸透しており、インドネシア都市部のみでなく地方でも多くのファストフード店を目にすることができます。
インドネシアでは子供の誕生日など何かお祝いごとでファストフード店を利用することも珍しくありません。
インドネシアのファストフードチェーンの代表格がKFC(ケンタッキーフライドチキン)です。
日本のファストフードですと、ハンバーガー主体とするバーガー類が主流となりますが、インドネシアのファストフードは、フライドチキンを提供するお店が多いという傾向にあるようです。
インドネシアのKFCは、1978年にインドネシアの高級スーパーGelaelを経営するゲラエル家によってPT Fast Food Indonesia Tbkが設立されました。F1やF2レーシングドライバーで有名な、ショーン・ゲラエルも同じ家系です。1979年ジャカルタに1号店をオープンして、KFCのフランチャイズを取得しました。
この最初の店舗は成功を収め、ジャカルタにも店舗を増やし、バンドン、スマラン、スラバヤ、メダン、マカッサル、マナドなど、インドネシアの他の主要都市にも店舗を拡大していきました。
最初にオープンしてから40年以上になり、2019年12月に中部ジャワのソロに700店舗目をオープンしました。
KFCのフライドチキンは子供の頃から多くのインドネシア人の間で人気になり、インドネシアのファストフード事業の発展に寄与してきました。
実際、2018年にオーストラリアの市場調査会社ロイモーガンが実施した調査では、KFCが最も人気のあるファストフードチェーンであり、平均6か月で来客数2,400万人です。マクドナルドは770万人で2番目となるそうです。
全てのインドネシアレストランチェーンを入れても、パダン料理レストランチェーンのSederhanaが2840万人に次ぐ2位となっています。
KFCは、ドライブスルー、誕生日パーティールーム、子供の遊び場、24時間営業など、先進国のサービス同様の、美味しくて高品質なメニューを提供することで、インドネシアの食文化を豊かしているとも言えます。
インドネシアのローカルレストランは、インドネシアに慣れていない頃は、衛生的でないと敬遠しがちですが、KFCは非常に清潔で日本と変わらない対応で安心感があります。食事だけでなく喫茶店としてコーヒーを飲むだけでも、快適に過ごす事ができます。
メニューは、KFCの特徴である、11種類のスパイスを配合したフライドチキンが有名ですが、インドネシアでも同じ味が楽しめます。
メニューを見ると、クリスピータイプのサクサク衣が人気の様で、多くのセットメニューに入っています。鶏肉に関しては、ハラル認証を受けた最高品質の衛生的で健康な鶏肉を使用しているそうで、安心感もあります。
必ず、チリソース「サンバル」がつくのは、インドネシアです。
また、インドネシアのKFCの特徴として、チキンにご飯がつきます。
日本では、バーガー系のメニューを豊富に取り揃えられている一方で、インドネシアではフライドチキンが非常に好まれているため、お米を好むインドネシア人のためライスとフライドチキンのセットが提供されています。
この背景には、インドネシア人のコメ食文化があります。
ライスとフライドチキンのセットは、バーガー系セットに比べて比較的安い価格設定となっています。ファストフード店はライスのセットを取り揃えることで、インドネシア人にとって手頃な価格帯の商品を提供しているようです。
フライドチキンにサンバル、紙に包まれたおにぎりのようなご飯、という組み合わせは、日本のKFCしか行ったことがないと、非常に驚きます。しかし、インドネシア滞在が長くなると、次第に慣れてきて、なんで日本のKFCでご飯がないのと思う様になります。
KFCを始め、インドネシアではファストフードが拡大中のもう一つの要因は、インドネシアで拡大を続ける配車サービスのフード配送ビジネスへの参入が拍車をかけていることが考えられます。
GrabやGojekといったインドネシアの2大配車アプリでは、特定のレストランから指定した目的地まで、注文したメニューを届けてもらうサービスが利用できます。
GO-PAY(GOJEKの電子マネーサービス)などの支払方法が浸透して来たことも大きな要因です。今回のコロナ禍で外出が制限された中での配車サービスの増加はいうまでもありません。
KFCは、コロナウイルスのために115店舗を閉鎖したそうです。
その結果、5000人の従業員が解雇され、残り5000人が給与の減額となりました。KFCはモールの中にある店舗も多く、モールの閉鎖に伴って休業せざるを得ないとの事です。
日本も同様ですが、インドネシアでの外食産業は休業による多くの影響がでており、コロナ感染が終息するまでは、試練が続きます。