クルプックでインドネシア人の健康を考える
クルプック=揚げえびせん
東南アジアのレストランで、ナシゴレン(焼き飯)を頼むと、必ずといっていほどクルプックがついてきます。
ナシシャンプルやガドガドなどのインドネシア料理にも添えられてでてきますし、袋に入ったままのクルプックがテーブルに置いてあり、食事がくる前の前菜のように、ポリポリ食べながらメインを待ちます(ちゃんとお会計で食べた分だけ支払いします)。
インドネシアの国民食とでもいっていいほど馴染みもあり、インドネシアに旅行すると必ず食べることができます。
クルプックまたはクルプッ(インドネシア語: Krupuk、Kerupuk、オランダ語: Kroepoek)とは、東南アジアや中国などで広く食用に用いられているキャッサバ芋から採った澱粉(タピオカ)に、海老や魚のすり身などを混ぜ合わせ、薄くのばして乾燥させたものを油で揚げたクラッカーです。日本で云うと愛知で見られる「えびせんべい」です。
クルプックの語源はサクサク、カリカリした噛み砕く音を表現した擬音からきているそうです。揚げる前の状態は、餅をスライスした見た目で揚げると、大きく膨らみサクサクの食感になります。
揚げ物の誘惑
インドネシアに行くと、揚げ物が多い事も特徴です。
日本ですと健康上揚げ物を何度も食べるのは気を使いますよね。
インドネシアはとにかく、クルプックに代表される様に、揚げ物天国です。
インドネシアではヤシ油が大量に生産され安い事も大いに関係しています。
こんなに揚げ物を食していて健康を害さないのかと心配になりますが、小腹を満たすのに、どうしても手軽に早く食べられる揚げ物につい手が出てしまいます。
道端のワルン(露店)、カキリマ(移動式屋台)で売られ、いつでも手に入るし、安価なところも誘惑材料になっています。
揚げ物が病気を多発
インドネシアではここ数年の目まぐるしい経済成長により、特に都市部に住む人々のライフスタイルが大きく変わりつつあります。
近年、インドネシアでは、脳卒中や高血圧症、糖尿病などの生活習慣病による死亡者が増加しています。
世界保険機関(WHO)によると、生活習慣病による死亡率は2004年の50.7%から2014年には71.0%まで増加しており、2017年、インドネシア人の5人に1人は脳卒中で死亡しています。
特に糖尿病については、「患者数は2013年の760万人から2030年までに1,180万人まで増加する」とも予測されています。
患者の大半は都市部に集中しています。インドネシアでは道路の整備、電車の普及もまだまだ行き届いておらず、年中暑いということから、日本と比べて「歩く」機会が少ないのが現状です。
ジャカルタ市内中心の大通りでも、歩いている人はまばらで、本当に東京に次ぐメガシティなのかと思いますが、インドネシア人はすぐ近くでも車やバイクタクシーを使って移動します。
その結果、不健康な食生活や運動不足が大きな要因となり、生活習慣病に罹患する人が増加しました。
ソウルフードは揚げ物がメインであり、調味料も多く使用されています。野菜はほとんどのものが炒め物、もしくは揚げ物として調理され、鮮度管理が行き届いている場所でない限り、生の野菜を食べる機会はほとんどありません。
とどめとして、お酒を飲まない代わりに甘いジュースを飲む事も多く、緑茶まで甘いのです。
食生活の偏り、運動不足、ストレス、喫煙など生活の乱れ、高脂血、不整脈、肥満、メタボなどが生活習慣病の危険因子を引き起こし悪化するといわれています。
食生活の改善は困難?
そんなインドネシア人の食生活の改善はなかなか難しいようです。
2014年にインドネシアで健康保険が導入されましたが、導入以降赤字が続いている状態です。インドネシア保健省は、生活習慣病やがんなどの非感染性疾患患者に対する治療費の公費負担が大きくなっていることが大きな要因の一つとしています。
不健康と思われても仕方のない食生活からしますと、生活習慣病の改善にはまだまだ時間がかかりそうな状況です。
揚げ物の多食と習慣性が病の起因だと自覚しても、なかなか揚げ物の誘惑に勝てないのが現状です。