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初めてのLRTジャカルタ体験!クラパガディンからヴェロドームへ

ジャカルタとその周辺エリアは長年にわたって深刻な交通渋滞に悩まされています。首都圏の人口増加と経済発展が進むにつれて、自家用車やバイクが道路を占拠し、通勤時間の長時間化や大気汚染の悪化が問題となっています。そんな中、LRT(ライトレールトランジット)は、新たな都市鉄道システムとして注目を集めています。首都の交通事情を改善し、持続可能な交通手段を提供することを目的に建設されたこのプロジェクトは、インドネシアにおける公共交通機関の新たな一歩となることが期待されています。今回は、クラパガディンモールからヴェロドームまでの区間を実際に乗車し、その魅力と課題について体験しました。

LRTジャカルタに初めて乗車

LRTジャカルタに乗車する機会がなかなかありませんでしたが、偶然クラパガディンモールを訪れることになり、初めて乗車することにしました。モールと直結したクラパガディン駅は非常に便利で、ショッピングや食事のついでに利用しやすい設計となっています。しかし、終点のヴェロドームまでは5.8kmの短い距離で、まだ延伸工事中のため鉄道ネットワークの一部としての機能は限定的です。クラパガディンからヴェロドームまで利用してみることにしました。

LRTジャカルタの背景と歴史

ジャカルタのLRTプロジェクトは、もともと計画されていたモノレール事業が頓挫したことを受けてスタートしました。モノレール計画は建設地の確保や投資家との調整が難航し、二度にわたり中止されました。LRTジャカルタの建設は、2015年にジョコ・ウィドド大統領によって指示され、交通渋滞解消を目的とした国家的なプロジェクトの一環として進められました。

LRTは、当初2018年のアジア競技大会に合わせて運行開始を目指していましたが、資金面や技術的な課題により、完全な運行開始は2019年12月まで遅れました。現在はクラパガディン〜ヴェロドーム間のフェーズ1が運行されていますが、2026年までにマンガライ駅への延伸が予定されており、最終的にはジャカルタの主要な鉄道駅と接続する計画です。

料金体系と支払い方法

LRTの運賃は一律5,000ルピア(約47円)で、距離に関係なく非常に手頃です。支払い方法には多様なオプションがあり、現金のほかに、電子マネー(e-money、Flazz、Tap-Cash、Brizzi、Jakcard)も利用可能です。これにより、利用者はチケットを購入する煩わしさを避け、改札で電子マネーカードをタップするだけで簡単に乗車できます。

体験から感じたLRTジャカルタ

クラパガディンモールからLRTに乗り込み、最初の印象は非常に新しい車両と駅の清潔さでした。LRTジャカルタの車両は韓国のHyundai Rotem社製で、モダンなデザインが特徴です。2両編成で運行されていて、短い路線にもかかわらず、10分おきに発車しているため、待ち時間が少ないのは大きな利点です。

車窓からの景色は都市開発が進むジャカルタ北東部の風景が広がり、モール周辺の商業エリアや住宅街の様子を見ることができます。

沿線にはまだ大規模な商業施設や観光スポットが少ないため、乗客は非常に少なく、日曜日の昼間でもほとんどの座席が空いていました。車内には英語とインドネシア語のアナウンスが流れ、外国人観光客にも配慮された設計になっています。

実際に乗車してみると、LRTジャカルタは非常に快適で、都市交通の新たな可能性を感じることができました。車両は新しく清潔で、空調もしっかりと効いているため、暑いジャカルタでも快適に移動できます。

しかし、その一方で、現時点では乗客が非常に少なく、広く市民に利用されるにはまだ時間がかかりそうです。今後の路線延伸や周辺の開発が進むことで、LRTジャカルタが本格的な都市交通インフラとして成長していくことを期待します。

今後の展望

LRTジャカルタの今後の発展は、現在進行中のフェーズ1Bの建設にかかっています。この延伸計画では、ヴェロドームからマンガライまでの6.4kmをカバーし、2026年初頭の運行開始を目指しています。さらに、ドゥクアタスや他の地域への延伸も検討されており、将来的にはジャカルタ内をぐるっと回る内環状線の形成が計画されています。LRTジャカルタの路線はまだ短く、アクセスも限定的であるため、多くの市民にとってはあまり利用する機会がないかもしれません。しかし、近い将来の路線延伸や他の鉄道駅との接続計画が進めば、LRTはジャカルタの主要な交通手段としての役割を果たす可能性があります。

都市の交通渋滞解消には大規模な鉄道ネットワークの整備が不可欠であり、LRTの利用促進と鉄道駅との接続が急務です。また、沿線の開発が進むことで、周辺住民の利便性も高まるでしょう。特に、主要な交通ハブであるマンガライ駅との接続が実現すれば、通勤客や観光客にとっても利用しやすい公共交通機関となる可能性があります。今後もジャカルタの交通事情改善に向けた取り組みが続く中で、LRTのさらなる発展が都市の未来に大きな影響を与えることでしょう。

kenji kuzunuki

葛貫ケンジ@インドネシアの海で闘う社長🇮🇩 Kenndo Fisheries 代表🏢 インドネシア全国の魅力を発信🎥 タコなどの水産会社を経営中25年間サラリーマン人生から、インドネシアで起業してインドネシアライフを満喫しています。 インドネシア情報だけでなく、営業部門に長年いましたので、営業についてや、今プログラミングを勉強中ですので、皆さんのお役にたつ情報をお伝えします。