レトロ塗装と夜明けの空へ!ガルーダ・インドネシアGA604便でケンダリへ
旅の始まりは、まだ夜が明ける前にスラウェシ島の東海岸にある港町、ケンダリ(Kendari)。素朴で静かな町に、週末の旅で足を運ぶことにしました。ガルーダ・インドネシア航空のGA604便で移動します。ジャカルタからマカッサル経由でケンダリへ向かうこの便は、早朝の出発が魅力。美しい朝焼けを見られるチャンスがあるのではないかと期待しつつ、午前5時の空港に向かいました。今回は、搭乗からマカッサル空港を離陸するまでの様子をお伝えします。
早朝5時、マカッサル空港は想像以上の混雑
空港に到着したのはちょうど午前5時。空はまだ暗く、東の空にほんのりと明けの気配が漂い始めていた頃です。眠気まじりの足取りで到着ロビーに足を踏み入れると、その光景に思わず目を見張りました。

なんと、ロビーはすでに大勢の人でごった返していたのです。出発ゲート前にはスーツケースを引いた家族連れや学生らしき若者たちが行き交い、ざわざわとした活気に満ちています。特に目を引いたのは、ライオンエアのチェックインカウンター。30人以上の長い列ができていて、まるで昼間のピークタイムのような賑わいです。

一方、私は今回利用するガルーダ・インドネシア航空GA604便の搭乗者。ジャカルタ発・マカッサル経由・ケンダリ行きという、やや珍しいルートで運航されている便です。すでにWEBチェックインを前日に済ませてあり、荷物も手荷物のみ。長蛇の列を横目に、そのまま保安検査場を抜けて制限エリアへと進みました。

静まり返ったラウンジと、特別な機体との出会い
制限エリアに入ってすぐ、コンコルディアラウンジへ。外の喧騒が嘘のように、ラウンジ内はひんやりと静まり返っていました。利用者は数人ほど。空気も落ち着いていて、少し緊張していた気持ちが一気にほどけていきます。

ビュッフェカウンターには早朝にも関わらず、美味しそうな食事が並んでいましたが、旅の高揚感で食欲はわかず、まずは目覚めの一杯としてトラジャコーヒーを選びました。少し深煎りで香り高い一杯は、旅の始まりにぴったりの味わいです。

コーヒーを飲みながら、スマートフォンで機材情報をチェックしてみると表示されたのは「PK-GFM」。この機材は、ガルーダ・インドネシア航空の60周年を記念して特別塗装が施されたボーイング737-800。赤と白のクラシックなツートンカラーに、往年のロゴが大きく描かれたレトロ塗装機で運行されるようです。思わぬサプライズに、この日のフライトが一層特別なものに感じられる瞬間でした。

夜明けとともに搭乗開始

5時30分、搭乗開始のアナウンスがラウンジ内に流れます。今回座席指定していたのは、機体後方窓側の45K。朝日が差し込む時間帯に空の色を楽しみたくて、あえて後方の座席を選びました。

搭乗ゲートを通過し、機内へ。ジャカルタからの乗客はすでにほとんど乗っていて、客室内はしんと静まり返っています。自分の席にたどり着き、窓の外を見ると夜の青から朝のオレンジへとグラデーションがかかった空が、目の前いっぱいに広がっていました。

窓の向こう、刻々と変わる朝焼けの世界
まだ暗さの残る空に、少しずつオレンジの光が差し込み始めたその時、機体がゆっくりと動き始めました。エンジンが低く唸りを上げ、滑走路へと向かって進んでいきます。

滑走路の端に向かうタキシングの間、窓の外では朝焼けがどんどん表情を変えていきます。

深い藍色から、薄紫、そしてやわらかなピンクが混ざり、やがてふわりと金色の光が雲の輪郭を照らします。その光の移ろいはまるで絵画のようで、思わず息を呑む美しさ。

機体が加速をはじめ、地面を滑るようにして走り出すと、視界の端にちょうど太陽が顔を覗かせました。機体が地上を離れるその一瞬、世界は淡い金色に包まれ、機体の翼がキラリと輝く光景は、一生忘れられない旅の幕開けとなりました。
離陸後、ふわりと空へ

ガルーダGA604便は、滑らかに空へと舞い上がりました。マカッサルの街が遠ざかり、朝焼けの光は次第に落ち着き、空は新しい一日の始まりを優しく告げているようです。