インドネシアは約90%の国民がイスラム教を信仰しており、アルコールに対する規制が厳しい国の一つです。ジャカルタやバリなどの観光都市ではお酒が自由に楽しめる一方で、人口150万人を超えるマカッサルではイスラム教の厳格な影響が色濃く反映されています。アルコールを提供しているレストランも少数で、地元の文化や習慣が色濃く反映された市場状況が存在します。マカッサルに来てから10年が経過し、この3年は長期滞在していますが、アルコールに関するこの保守的な雰囲気は今も変わりません。
マカッサルでお酒を自宅で楽しむ場合、スーパーマーケットやコンビニでアルコールを購入することはできません。
マカッサル市内で唯一ビールを扱うGERAELスーパーでは冷えたビールを買うことができるのは稀です。
アルコールを買いたい場合は、ほとんどが地元の小規模な酒屋に依存しています。
これらの酒屋は、外見からは鉄格子の扉が特徴で、しばしば休業しているように見えることがあります。しかし、注意深く観察すると、小窓からお酒を手渡しで販売している様子を目にすることができます。最初は地元のインドネシア人に教えてもらい、その購入方法に慣れるまでに時間がかかりました。商品は店内に保管されており、欲しいアイテムを小窓から注文すると、店員がそれを取り出してくれるシステムです。
店内に入ることは禁止されていますが、取引に問題はありません。アルコールの種類は豊富で、ビール、ワイン、ウイスキー、ソジュ、焼酎などが揃っています。価格はビールを除き、日本の約3倍と高めですが、高い酒税が背景にあるためです。支払いは現金または銀行振り込みが主です。
約半年前の2023年12月に、マカッサル中心のパナックカンにあるFarmers Market内に新しいタイプの酒屋がオープンしました。
当初は看板もなく、新しい店が何を提供するのか分からず興味深い謎でしたが、ある日扉が少し開いていたため覗いてみると、「VINYARD」と名付けられた酒屋であることが判明しました。
ジャカルタで何度か訪れたことがある店がマカッサルに出店しているとは驚きでした。
店内にはソファが置かれ、落ち着いた雰囲気でお酒を楽しむことができます。
ビール、ワイン、ウイスキー、ウォッカなどが充実しており、店員は親しみやすくお酒の説明をしてくれます。
店内はまるで小さなバーのようで購入したお酒はその場で楽しむことができますが、つまみは提供されていないため、スーパーなどで購入したものを持ち込むことが可能だそうです。
マカッサルのお酒の購入事情は、日本とは異なり、初見ではアクセスが難しいことがあります。また、地元の文化や法律により、お酒を扱う店の運営も公然とは行えません。しかし、徐々に新しいタイプの酒屋が登場し、地元市民だけでなく長期滞在者や訪れる旅行者にも新たな選択肢を提供し始めています。この変化が今後どのように展開していくのか、引き続き注目していきたいと思います。